2013-01-01から1年間の記事一覧

ミハル・アイヴァスによる「もうひとつの街」新たなプラハの迷宮

ミハル・アイヴァスミハル・アイヴァスは、チェコの作家。近年世界的な名声も高まってきているといわれる作家で、ボルヘスなんかも引き合いにだされるようなタイプの作家。 そのミハル・アイヴァスの日本では初の単行本である「もうひとつの街」が刊行された…

ギリシャのトラッドバンド Daemonia Nymphe の新作

Daemonia NympheDaemonia Nymphe はギリシャのバンド。私も詳細は知らないのですが、トラッド楽器なども使うバンドで、女性ボーカルが主体。ラディカルトラッドバンドのような破壊力のあるスタイルではなくて、若干アンビエントな印象もするふくよかなサウン…

ノルウェーのジャズパンクバンド Shining の新作も強烈

Shining破壊的なパンクな演奏を繰り広げる一方で、タイトな演奏力によってジャズロックな要素も併せ持つという相反する世界を融合したバンド Shining。同名バンドがいるので気をつけないといけないが、こちらは、ノルウェーのバンド。その新作 One One One …

フランシス・ベーコン展の最終日に行ってきた

フランシス・ベーコンフランシス・ベーコンは、アイルランドの画家で、まさに20世紀を生き抜いた人物。その、フランシス・ベーコンの回顧展が、東京都現代美術館にて開催されていて、2013年5月26日が最終日だったのだけれども、何とか間に合って見に行ってき…

Arti E Mestieri のライブCD & DVD

Arti E Mestieri数多くの個性的なバンドを産み出した、1970年代のイタリアン・ロック・ムーブメント。そんなイタリアンロックの中でも、ジャズロック的なサウンドとテクニック、そして、何より、Furio Chirico のドラミングを特徴とした Arti E Mestieri は…

安部公房の幻の作品を収録した初期短編集「題未定」

安部公房私が最も愛する作家、安部公房。ノーベル文学賞を何故取らなかったのだろうかと最も残念がられている作家の筆頭でもある。 そんな安部公房の幻の初期作品が、昨年発掘されて、新潮に掲載された。 その作品「天使」を含む初期短編を集めた短編集「題…

Chris Squire と Billy Sherwood による Conspiracy の Live アルバム

ConspiracyYES そのものとも言うべきベーシスト Chris Squire。メンバーチェンジの多い YES なかで、唯一常にメンバーであり続けている彼であるがソロやサイドプロジェクトの活動の方は、それほど行ってはいない。 そんな Chris Squire が、かつて YES にも…

感動を我が家でも AREA のライブCD

AREA伝説的なボーカリスト Demetrio Stratos を擁したイタリアのロックバンド AREA。その壮絶な演奏力で、ジャズをもロックをも飲み込んだサウンドを構築し、唯一無二の Demetrio Stratos によるボーカルワークによる他を寄せ付けぬレベルにまで到達したバン…

Sigur Ros の来日公演を武道館で見た

Sigur Rosアイスランドの至宝で、ポストロックの代表格でもあるバンド Sigur Ros。近年は、中心人物 jonsi のソロ活動も一時期あったこともあり、かつ、メンバー脱退もあったりということがあったのだが、それも乗り越え、近々新たなアルバムをリリースする…

Kraftwerk の3Dライブ初日に行ってきた

Autobahnドイツを代表するミュージシャンで、テクノミュージックの祖とも言える存在 Kraftwerk。その3Dライブが開催されたので、言ってみた。 なお、今回のライブは、8日間でそれぞれ過去のアルバムを日替わりに演奏するという内容。 で、私が行ったのは、初…

資本主義を描いた?「コズモポリス」を見た

デヴィッド・クローネンバーグデヴィッド・クローネンバーグ監督による映画、「コズモポリス」を見た。なお、この作品は、アメリカの作家「ドン・デリーロ」による小説が原作である。 転落この映画をおおざっぱに言うと、金融で大金を得た若者が、投資の失敗…

Marillion Weekend "HOLIDAYS IN ZELANDE"

Marillion Weekendさてさて、英国の誇る渋すぎるプログレバンド Marillion の恒例のイベントとなっている Marillion Weekend。2011年にオランダで行われたこのイベントの様子を納めた三枚組 Blu-ray エディションを見てみた。 なお、この作品は、DVD でまず…

イタリアンプログフェス第3日で、Mauro Pagani と Area を遂に見た

イタリアンプログフェスクラブチッタにて開催されているプログレ系イベントの一つ、イタリアンロックフェス。過去二回開催されていて、プログレファンにはたまらないイタリアンロックバンドのライブとその高額チケットで話題を呼んでいるフェスティバルであ…

さまよえる魂の依存関係 ザ・マスター

ポール・トーマス・アンダーソンザア・ウィル・ビー・ブラッドなどで知られる映画監督、ポール・トーマス・アンダーソン監督による映画、ザ・マスターを見てきた。 主演は、ホアキン・フェニックス。 一人の男第二次世界大戦末期、戦地へ送られようとする一…

Riverside の新作 "Shrine of New Generation Slaves"

Riversideポーランドのプログレバンド Riverside の2013年新作 Shrine of New Generation Slaves がリリースされているので、聴いてみた。 これが5枚目のアルバム。 重さと軽快さRiverside は常に、重いテーマを扱うバンドで、深く沈み込むようなサウンドス…

凄腕4人衆による馬鹿テク祭り PSMS

PSMSDream Theater から脱退後、数々のプロジェクトで活躍している、Mike Portnoy ですが、そのプロジェクトの一つで、PSMS の日本でのライブの模様を納めた CD と DVD Live in TOKYO がリリースされているので、早速鑑賞した。 ちなみん、このプロジェクト …

ハンガリーから叙情見あるラディカルトラッド Both Miklos Folkside

Both Miklos Folkside今回紹介するのは、Both Miklos Folkside というバンドによる、Csillagfeszek というアルバム。このバンドは、Both Miklos によるバンドで、Both Miklos というとハンガリーの超絶ラディカルトラッドバンド Napra の中心人物であり、ギ…

The Dear Hunter の新作も伸びやかなエモプログレ

The Dear Hunterアメリカのエモでポップなサウンドをキラーとして持つプログレバンド The Dear Hunter。その5枚目のアルバム Migrant がリリースされたので聴いてみた。 ハイテンション彼らの、とにかく愉快でハイテンションなサウンドを基調としながらも、…

ワタリウム美術館にて、人々の力を感じる

ワタリウム美術館現在、ワタリウム美術館にて開催されている展示、「JR展 世界はアートで変わっていく」を見てきた。 この展示は、JRというアーティストが世界中で行っているストリートアートの様子を展示しているもの。プロジェクトのひとつにでは、INSIDE …

フィンランドの不可思議ロックバンド Alamaailman Vasarat ライブがすごい

Alamaailman Vasarat丸っこい体型に豊かなお髭、そして、シルクハットとその風貌だけでもインパクトのある STAKULA 率いるフィンランドのロックバンド Alamaailman Vasarat が来日公演を行ったので行ってみた。 2013年4月6日アサヒビールホールにて。 浅草ヴ…

伝説の New Trolls による Concerto Grosso 2度目の第3弾

New Trollsさてさて、イタリアンプログレを代表するバンドはいくつかあるけれども、シンフォニック色の強い時代、ジャズロック時代、ポップロック時代と音楽性とメンバーを変化させながら数々の名作を生み出したバンドというかブランドとも言うべきは、New T…

Big Big Train による English Electric Part2

Big Big TrainBig Big Train は英国のバンドで、結成は意外に古くて、1990年。メンバーチェンジは結構激しくて、最近では、元 Spock's Beard の Nick D'Virgilio をドラマーに迎えている。 English Electric今回紹介するのは、2013年にリリースされた、二枚…

ジャジーでサイケな新バンド Henry Fool

Henry FoolNo Man における活動などで知られる Tim Bowness のバンド、Henry Fool の新作、Men Singing がリリースされたので聴いてみた。 ちなみに、このバンドは結成は結構古くて、2000年ごろから活動している。 四曲このアルバムは、4曲が収められていて…

KingCrow の新作はプログレメタルでポストプログレッシブで

KingcrowKingcrow はイタリアのプログレメタル系バンド。2000年初頭から活動していて、すでに4枚のアルバムをリリース。そして、5枚目のアルバムとして、2013年新作 In Crescendo がリリースされたので、聴いてみた。 お初私自身は、このバンドは、この新作…

Crimson ProjeKct 来日公演はチッタにて

Crimson ProjeKctKing Crimson の元メンバーを含むバンドによる、King Crimson の楽曲を演奏するためのバンド、Crimson ProjeKct。メンツは、後期のKing Crimson の主要メンバーである Adrian Belew, Tony Levin, Pat Mastelotto の三人を中心に、Tony Levin…

閉鎖空間と開放時間メキシコの文豪カルロス・フエンテスの「誕生日」を読んだ

カルロス・フエンテスカルロス・フエンテスは、昨年亡くなったメキシコの作家。日本での翻訳では、「アウラ」などが知られている現代文学者。 ラテン・アメリカ文学の隆盛のきっかけと成った作家の一人でもある。 誕生日で、私が読んだのは「誕生日」という…

Kick Starter から登場した Rabbit Quinn のデビューアルバム

Rabbit QuinnRabbit Quinn は女性ボーカリストであり、ピアニストで、まぁ、いわばシンガーソングライター。そんな彼女は、最近流行のクラウドファンディングの代表格の一つ Kick Starter でアルバム資金を募り、アルバムデビューを果たした人物。 おそらく…

ロシアの Lost World Band は相変わらずの馬鹿テクに味わいを添えて

Lost World BandLost World Band はロシアのバンドで、バイオリンの音色が馬鹿テクにそして、時に凶暴に引き裂くサウンドが特長的なバンド。 その2013年新作 Solar Power がリリースされていたので、聴いてみた。 馬鹿テクバイオリニストの奏でる引き裂くサ…

Steven Wilson の新作ソロは完成度高杉

Steven Wilsonさてさて、Porcupine Tree の中心人物というだけでは語りきれないほどに、プログレ界を中心にいろいろと活躍する Steven Wilson ですが、2013年のソロ新作 Raven That Refused to Sing がリリースされたので、早速聴いてみた。 ちなみに、この…

現実と架空が交錯する活劇「ヴァインランド」を読む

トマス・ピンチョン現代文学最大の作家の一人、トマス・ピンチョンによる代表的な作品の一つ「ヴァインランド」を読んだ。ちなみに、私は、この作品をすでに一度読んだことがあったのだが、「重力の虹」を残して刊行されたトマス・ピンチョン全小説にて、再…