資本主義を描いた?「コズモポリス」を見た



デヴィッド・クローネンバーグ

デヴィッド・クローネンバーグ監督による映画、「コズモポリス」を見た。なお、この作品は、アメリカの作家「ドン・デリーロ」による小説が原作である。





転落

この映画をおおざっぱに言うと、金融で大金を得た若者が、投資の失敗によって一夜にして財産を失うというお話。
そんなストーリーがバックグラウンドにあるのだけれども、その話をそのまま単純に捉えれば理解できるというような映画ではない。


車の中

この映画の舞台は、おもに、大金を持つ若者が所有するリムジンの中。そのリムジンを、彼はオフィスのように使っているのか、多くの人物がそこを訪れる。リムジンの中は、ハイテク仕掛けになっていて、様々な市場の情報が表示されるようになっているようでもある。
多くのアドバイザーのような人や愛人、仕事のパートナーや医者がこのリムジンを訪れては、彼に仕事上の助言を与えたり、セックスに興じたり、診断を行ったりする。


資本主義

そこで語られるのは、彼の投資と、その投資をめぐる思想。彼は、刺激を求めて、セックスをもとめたり、高額の買い物をもとめる。投資の状況の悪化があっても、彼は動じることなく、ただ、同じように日々を過ごす。
彼は結婚をしていて、そのパートナーも資産家の娘。しかし、その妻とのセックスを求めるが、それが満たされることはない。不思議な関係性。
お金が全てだという資本主義がそこにあるのか。


車の外

一方で、車の外では、ミュージシャンの死にとも成って葬列が動き、大統領が街にやってこようとしており、そして、大金持ちに対する抗議運動が行われている。
時に、かれは車の外へと出る。そこでは、妻との交差しない会話があり、セックスがあり、そして、護衛との会話があり、散髪がある。
そう、彼は護衛に守られていて、そして、彼は誰かから暗殺される危険性の中にいる。


車を降りる

そして、リムジンは車庫へと運転手と共に戻っていき、彼は、街の中に取り残され、そして、そこで彼を暗殺しようとする人物にであう。
全てを持っていたものを、全てを失ったものが、命を狙う。しかし、すでに、彼は全てを失っている。持っていたものと失ったものの対話が続く。
それは、先述の通り、資本主義への言及でもあるようでもある。


結局

そして、物語は終わる。サスペンスのような緊張感がずっと続くが、しかし、これといった大きな出来事が起こるわけではない。また、これといったストーリーが全体を通してあるわけでもない。
結局なんだったのか、この物語は。資本主義を痛烈に批判しているわけでもない。しかし、確かに、資本主義を題材にしているように感じる。
持てるものと持たないものが分かれていくが、しかし、一体だれが持てるものであるのだろうか?
ただただ、この映画には、印象だけが残り、これといった何かを語るのは困難である。であるが故に、この映画は、映画として見事に成功しているのだと思う。
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映画『コズモポリス』公式サイト
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