アートと音楽を東京都現代美術館で鑑賞した



アートと音楽

昨日は、Mot Annual2012 の展示について書きましたが、東京都現代美術館で同じタイミングで行われている「アートと音楽」も鑑賞してきたので、今日はこちらのほう。ちなみに、この展示は、坂本龍一さんが監修している。


完成度高く

この展示は、あまりにもタイトルがシンプルすぎてそのまんまやんと突っ込みたくなるほどですが、まさにそのような展示。音との関連性をもつような美術作品が、比較的幅広い視点で集められた展示。超有名どころの作家の作品が多く集まっていることもあり、昨日書いた、Mot Annual 2012 の作品の完成度に比べると、圧倒的に高くて、抽象度の高い音を対象としたアートであり、どう解釈すべきかと悩ましい作品ではあるものの、作品が作品としてしっかりと自立しているが故に、理解不能でもなお、完成度の高さと圧倒的な何かを感じさせてくれる作品ばかり。


インスタレーション

わずかな水流のあるプールに浮かべられた陶器の器が時々ぶつかるときに美しい音色を放つ作品によって、一気に心を掴まれてしまう、そんな展示。インスタレーションを中心とした展示で、面白い。
オノセイゲン坂本龍一、高谷史郎による作品は、暗い空間にレーザーポインタで壁に映し出される文字とピアノが奏でる音が静かに広がる展示も、それが一体何かと言われると難しいのだけれども、感情にも響いてくる何かを感じさせてくれる。


大御所

大規模なインスタレーションだけではなく、大御所の作品をアートと音楽として捉えて展示してもいる。例えば、カンディンスキーの作品やパウル・クレーの作品は、抽象絵画のモチーフとして音楽が扱われている作品を展示したり、現代音楽の巨匠ジョン・ケージ武満徹の特殊な楽譜などの展示もされている。
単に、インスタレーションにいよるイベント的な面白さだけではなくて、これらの作品を通じて、音とは音楽とはという要素を深く考え感じるきっかけを与えてくれる。


周波数

この展示タイトルの「音楽とアート」は確かにわかりやすいが、もう少し深く示せば、「音にまつわるアート」といったところだろうか。なので、音楽というシーケンスまでたどり着かせた作品は少なくて、音を取り扱った展示として理解すべきだろう。
例えば、カールステン・ニコライの作品は、周波数そのものを表現した作品。


ノイズか音か

さらに行くと、それはノイズなのか、音楽なのかというところも興味深いところ。大友良英リミテッド・アンサンブルズによる、古いレコードプレイヤーでノイズを出す作品は、まさにノイズだけで終わらせることは出来ない、何かが感じられる気がするし、それほど大げさに捉えなくても、ただ面白いと感じればいいのかもしれない。
一方で、コンピューターで生成された池田亮司による作品は、コンピュータが産み出す無機質な音と画面のアンサンブルが、しかし、なんか興味をひかれるものと感じられる面白さ。


面白い

いずれにしても、この展示は、面白い。何が言われると説明が難しいのだけれども、それが、正に「音楽とアート」であり、いずれも言葉では表現することの出来ない表現形態が産み出す何か?がしっかりと表現されていると言うことだろう。
ICCでしばしば展示されてきたメディアアートが最近もう一つ元気がないので、こうやって、メディアアート的なものをまとめてみるチャンスが、東京都現代美術館のほうでめぐってきたのは、とてもうれしかった。


肩張らず

そんなに、難しく考えなくても、ただ感じれば、楽しめるし、そこからいろいろと深く考えることも出来るような展示なので、是非とも、多くの人に見ていただきたいと感じるほど面白い展示でした。


関連リンク:
東京アートミーティングアートと音楽 ―新たな共感覚をもとめて
carsten nicolai
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大友良英 日本語ホームページ
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