都心で日本庭園を味わえるワタリウム美術館での重森三玲展



ワタリウム

原宿と青山の間あたりにあるこじんまりとした美術館、ワタリウム美術館は現代美術を多く展示するスペースである。ここで、現在開催中で、2012年3月25日まで行われている展示は、そういった現代美術とはひと味違う重森三玲という造園家にまつわる展示。ということで、なんとなく珍しいので見に行ってみることにした。


重森三玲

重森三玲は、1896年に生まれて1975年に亡くなった人物。いくつもの日本庭園を作り上げた人物であるとともに、華道や書になどにも通じていた人物。
造園というととても伝統的なものという印象であるのだけれども、この人物はその伝統的な技法にモダンな要素を取り入れたお庭を各所に作った人物だそうだ。


ビルの中に庭園が

まずこの展示で驚くのは、ビルの中に京都にある東福寺の方丈庭園の一部が再現されているところ。一つは庭園としてはとても珍しく、円柱が北斗七星の配置に並べられているもの。もう一つは、市松模様に石と草地が並べられているもの。確かに、これは象徴的というのか、一般的な庭園のイメージにあるようなスタイルではない作りであり、非常に印象に残るそれ。


パネルと映像

そのほかの展示は、さすがに庭園であるだけにパネルと映像が主体となる展示。特に3階では、壁三面を使って、重森三玲の手がけた庭園の映像が流されている。しかも、真ん中に鑑賞用の段があるのだけれども、ここに置かれているクッションが石風であるのがまた微妙にポイント。


庭園調査

重森三玲は、自ら庭園を手がけただけではなくて、日本各地の庭園を調査してもいたそうで、それは膨大な量にわたるそれ。その中から、多くの庭園に影響を受けたそうだ。
その影響を受けた庭園の一つとして映像の中で紹介されていたのが、阿波国分寺庭園。質素な建物の周りに荒々しく天に向かってそびえ立つように石が置かれている庭園。一般的な庭園のような落ち着いた趣は無くて、むしろ自然の荒々しさが再現されているようなそれで、非常に圧倒されるもの。これは、機会があったら一度は見てみたいと思わせるそれだった。


自由に

我々は、なかなか、自由になれないし、自由を認めることも出来ない。数少ない芸術家の一部にのみ許された特権であるのだろう、その自由さを表現出来るということは。意味が消えて無くなるところまで意味を追求して、そして意味を消え去らせることで自由を得ることが出来るのだろうと。そこまでたどり着かなければならないし、そこまでたどり着こうとすることをもっと推奨する雰囲気作りが必要なのだと思う。とくにこの、現代の表面的な意味や自由だけを装飾して魅せてごまかし続けた結果行き詰まりつつあるこの現代においては。


庭園

まぁ、正直言って庭園には、私は全く造形はなくて、このところ、時々お寺などを見に行く機会が増えて、改めて歴史や伝統に対する知識の不足を感じている。当然この人物、重森三玲もこの展示で初めて知った。だけれども、庭園にとても興味を持たせていただいた。
こういったものは、もっとうまい見せ方をすると、もっと観光資源として価値を出せるような気もする。
いつもの美術鑑賞とはまた違う刺激を受けることの出来た展示でした。


関連リンク:
臨済宗大本山 東福寺
阿波国分寺 - Wikipedia
重森三玲庭園美術館 | Shima/Islands | 重森三玲邸庭園
関連サーチ:
重森三玲(AMAZON.co.jp)
重森三玲(Google)
重森三玲(Wikipedia(JP))
Powered BY AmazoRogi

重森三玲―永遠のモダンを求めつづけたアヴァンギャルド (シリーズ京の庭の巨匠たち)
発売元 : 京都通信社
発売日 : 2007-09 (−)
売上ランク : 30929 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 2,500 通常2〜4週間以内に発送
Powered BY AmazoRogi Data as of 2011-12-25
See detail & latest visit AMAZON.co.jp