PCを音源として音楽をいい音で聞く方法を考える〜実践編その2ハード環境
随分間が開きましたが
PCを音源としてどのように音楽を楽しもうかということについて書き始めたのは、もうかれこれ1年以上前になってしまいました。そのときは、「初級編」「中級編」「上級編」とまで書き上げた上に、さらに、「実践編その1ソフト環境」というところまでまとめたのでした。で、この最後の実践編の時に、その2としてハード環境をそのうちにアップすると宣言したきり放置していたのでした。
困難
とはいっても、PCオーディオに飽きたわけではなくて、今年一年は、かなりの時間をPCオーディオで音楽鑑賞をした。特に垂れ流し状態で音楽を聴くときは、ディスクの入れ替えの必要のないPCオーディオが楽なので、まとまった時間があるときほどPCオーディオを楽しんでいたのです。しかし、これをどのようにいい音を鳴らすところまで持って行くかということについては、なかなか困難を極めて、いろいろと手を出してみるものの、なかなかこれというレベルまで達せられることが出来なくて、記事を書くことが出来ないでいたわけです。
しかし
しかし、このほど、かなり満足いく音で再生することが出来るようになったので、約1年というインターバルを置きながらも、まとめ記事を書くことを決意したのでした。ということで、以下私が行った高音質オーディオPC構築のための改造過程を紹介します。なお、特にハード的な対応によるオーディオ環境構築には、時にオカルトと揶揄されるほど、その効果を疑問視する視点もあるのは私も十分理解しています。ということで、以下にまとめるのは、あくまで改造そのものも楽しんでいるという趣味であるということもご理解の上で呼んでいただきたく思います。
足下から
私個人の思い込みでは、オーディオ環境を整えるには、まずは足下から。機器全体の振動を以下に抑えるのかということが重要。なので、本来は、オーディオ用ラックにPCも設置したいのですが、まず、PC自体がノイズ源になるので、オーディオの本体機器とPCを離して設置したいこと。さらには、我が家が狭くて、新たにラックを鎮座させるスペースが無いことから、ラックに置くのは断念して、普通の机の上に設置しています。ということで、なおのことPCの足下振動対策が重要。とはいいつつ、予算的な都合もあるということから、今回は足下対策は、薄型オーディオボードとインシュレータを使用することにしました。薄型オーディオボードは、「サンシャインの薄型シート」を選択。はっきり言って、コストパフォーマンスで選択しました。さらにインシュレータは、電気屋ならどこでもよく見かけるそれで、オーディオテクニカの「ハイブリッドインシュレータ AT6098」を選択。こちらもコストパフォーマンス要素強し。
最終的には、USBでデジタルでデータを取り出すので、大げさな対策は不要という考えでこだわりは柔らかめにしています。ちなみに、出来れば、オーディオボードはもう少しこだわりたかったのですが、サイズと価格がPCに適切なものを見いだせなかったのです。PC狙いの適切な製品を出してくれるメーカーが出てきてくれるとうれしいなと言うところ。
内部振動
さらに、振動対策。PCの振動対策は、静音PC作りも盛んなためにかなりの数の対策パーツが存在する。基本はいろいろなところをラバーマウントさせて振動を吸収するという方法。ということで、このあたりは静音PCの常道を活用で、まずはファン周りは、ビス止めだったところをラバーマウントへ変更。
さらに、ハードディスクの取り付けビス部分についても、ラバーマウント化。具体的には、取り付けビスにゴムワッシャを挟み込んでフロート。これは、他の部位でも使えそうな部分には適用した。
さらに、ケースについても、鉄の薄板で構成されているので、制震。これについては、オーディオ機器でよく使われる制震グッズを適用。チューニング用の制震テープで、「fo.Q のTA-102」というもの。これをケース周りや、薄板のブラケットの面に貼り付けて面振動を抑制した。
この3種類を適用して、PC制震処理を完了。
電磁波対策
つぎに、行うのがノイズ対策で、電磁波対策。電磁波対策のうちで容易なもとしては、フェライトコアの適用。良く電話線などのケーブルに取り付けられているもの。これをLANケーブルなど外部機器との接続を行っているケーブルに追加。さらなる電磁波対策としては、電磁波吸収シートの適用。実は、これについては、一体どこに張るのが適切なのかがわからなかった。ので、とりあえず、ハードディスク周りに貼り付けたのと、あとは、最終に音を取り出すUSBポートの周りをシールドした。
ちょっと余談
ここで、ちょっと余談。さらに電磁波対策するには、PCIバスに、差し込む以下のようなノイズ対策グッズが玄人志向から販売されている。ただ、残念ながら、私のPCは、ボックスサイズの小型のもので、かつ古いので、これを差し込むための余ったPCIバスが無く断念。SATA
さらに余談だけど、何故PCIバスが埋まってしまっているかというと、オーディオ用に使用しているPCは、WindowsXP が乗っている7年前くらいのPCを流用している。オーディオPC化するには、まず音楽データを大量にストックする必要があることから、大容量ハードディスクが必要となったのだけれども、古いPCであるために、IDEしかそのままでは使えないという状況だった。であるために、PCIバスに、SATAを利用出来るようにするためのボードをさして、SATA化したために、唯一のPCIバスが占領されているのです。ちなみに、このボードを使うと、SATAを起動ディスクにしてしまうことも出来るので、高速化も可能になった。さらに、私は、二つあるSATAポートのうちの一つのポートからケーブルをケースの外に伸ばして、SATA-eSTA変換を使って、外部のeSATA外付けハードディスに接続出来るようにしている。
ノイズ対策
少々脱線したけれども、さらにPCの高音質化改造は続きます。電磁波対策に続いてノイズ対策。PC内は言わずとしれたノイズの嵐。この中からノイズ対策出来る場所をしていこうと。
ZIONOTEが日本代理店を行っている SOtM というブランドがPCノイズ対策製品をいくつか製品化している。その中で、「FAN noise filter」を使うことにした。これは、FANのモーターからのノイズを遮断するための製品で、FAN の電源ケーブルとマザーボードの電源ケーブル接続部の間に挿入してノイズ対策するもの。ネット上では、効果があるという評判も多くて適用することにした。
ほかにも、「SATA noise filter」というものもあるが、こちらは、スペース的に難しいため断念。また、「tX-USB」というPCIバスにさしてノイズ低減したUSB出力を出来るようにするボードも存在するのだが、こちらも、上記の理由で、PCIバスが空いていないので導入は断念。
電源
最後はやはり、電源。世の中で音質的な評判のいいPC電源がいくつかあるようです。しかし、先述の通り、当該PCはボックスタイプの小型のものなので、汎用電源を設置することは不可能。そこで、目をつけたのが、デスクトップPCをACアダプタ化するキット。もともとPCオーディオでは、ACアダプタ駆動のノートパソコンの方が音質的には有利であるという話しもあるほどで、ノイズの塊である電源は、出来れば外にある方がいいというのは良くある話し。ということで、いろいろ探せば、ちゃんとそういう製品があって、「FILCO ACアダプター for デスクトップ」というもの。これを使えば、デスクトップPCをACアダプタ化出来るわけです。で、既存の電源ユニットを取り外して、その場所にこの製品を設置。もちろん、ACアダプターはPCの外。スペース的にも空間が増えるし、熱源でありノイズ源であるPC電源をACアダプタとして外に出せるのは、意義が大きそう。また、単純に騒音源である電源部のファンを排除できたことも大きな効果。
ちなみに、この製品はタワー型PCを想定しているので、取り付けブラケットが我が家のマシンではうまくいかない。というところで、ブラケットについては、ついていたものを切断改修することで、うまく取り付けることが出来るようになりました。
USBケーブル
で、最後の締めはUSBケーブル。これについても、オカルト的かもしれないのだが、昨今様々なメーカーからオーディオ用USBケーブルが発売されていてこれがまたびっくりするほどの値段がする。USBケーブルには、電源ケーブルがデータケーブルと共に入っていることを考えれば、確かに、電源ケーブルがデータケーブルに与える影響を最小限にすることは重要だと思われる。製品によっては、この電源ケーブルとデータケーブルを完全に分離したものまである。というところですが、我が家の設置環境では3mのUSBケーブルが必要でそんなに高級品をつかうととんでもないことになる。ということで、そんななか、これもコストをある程度加味した中で選択したのが、オーディオ界では特に電源系やケーブル系で定評のあるメーカー OYAIDE のUSBケーブル「d+USB class B」を選択しました。
完成
ということで、以上の苦労の末に、オーディオPCの高音質化改造が完了。これを、Esoteric のCDプレイヤー「SA-50」のもつUSB入力に差し込んで、DA変換して再生しております。大満足
これが、大満足の音質。正直言って、CDを再生するよりも音がいいかもしれない。かなり、高音がきらびやかな音になったのだけれども、これがまた私好みのそれ。ホント、いい音過ぎます。このオーディオPCで再びいろいろな音源の曲を聴くと、新たな感動を感じることが出来た。とくに、弦そのもの、膜そのもの、空気の流れそのものの音を感じることが出来るほどで、楽器の生々しさを感じることが出来るようになったし、ライブ音源では、ライブ会場の空間さえも感じ取ることが出来るようなレベル。
最も効いたのは
個人的な感覚では、「FILCO ACアダプター for デスクトップ」が最も効いたような気がする。ということで、ハードの改造もうまくいって、来年は、ますますPCオーディオが楽しくなりそうです。ちなみに、これらの効果については、私の個人的な主観ですので、必ずしも同様な効果が誰でも感じ取ることが出来るかどうかはわかりません。また、ずいぶんと改造しているので、ものによってはPCの安定性を損なう可能性もありますので、導入は自己判断でお願いします。
改造の楽しさも
ということで、あまりにもPCを改造しすぎたために、今やPCのパーツで買ったときのままなのは、マザーボードとケースのみで、ハードディスクからファンから電源からメディアドライブからメモリまですっかり入れ替えてしまった状態になりました。それでも、ちゃんと動いてくれているので、なんだか、PCに愛着がわいてきてしまうほどの状態です。ということで、こうやって改造することそのものも楽しみの一つでもあります。皆様もいろいろといじりながら自分の音を作っていくPCオーディオを楽しんでみてはいかがでしょうか。結構低予算でいい音を手に入れることが出来るように思います。
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