チェコのシュールレアリスト シュバンクマイエルの展示を見に行った
ラフォーレ原宿
映画を中心とした芸術活動で、そのちょっとグロテスクな人形などのインパクトもあって、根強く支持されている芸術家、シュバンクマイエル。ここ最近は、映画としての新作、サヴァイビング・ライフが上映されたり、また、書籍の挿絵でも多くの作品が出版されていて、たとえば、不思議の国のアリスなんかが挿絵作品のひとつで、書店では一風変わった雰囲気を醸し出しながらおかれてたりする。
展示
そんな状況もあってか、ラフォーレミュージアム原宿にて、奥様の作品も含めた「ヤン&エヴァ シュバンクマイエル展 〜映画とその周辺〜」と題された展示が開催されている。2011年8月20日〜9月19日まで。早速
ということで、早速見に行ってみた。今回の展示は、前半がいかにもシュバンクマイエル的な造形作品が、並んでいて、様々な漂流物のような物体をくみ上げて生命体のようなものに作り上げていくような作品群。古物収集をやっていると言うこともあってか、そういった何というのだろう、美しく完成されたものではなくて、朽ちつつあるようなそんなものに、シュバンクマイエルの興味があるということなのか、そういった朽ちかけたという印象のする作品が展示されている。さらには、性的な接触をテーマにした作品も並ぶ。
鉱物
それは、生物が鉱物へと変化しながらも、生物という状態を模擬しているというさま。造形には、石や木、毛皮、骨が多用され、さらには、さびた鉄製の何かが使われる。この鉱物化したものによって、しかし、生命の持つグロテスクさを作り上げるところにおもしろみがあるのだともう。生命の複雑さを順列すれば、生物、植物、鉱物となるだろう。しかし、生物も植物も死を迎えるとその形態はともかくとして鉱物になる。シュバンクマイエルのその造形には、つまり出自としてはころなるものの最終的には鉱物化した物体が構成されていて、それが生命的な造形になるという、それがテーマとして生命とは何かを示唆しているようでもある。
一方で、性的なもは、より明示的に生命を連想させる。
映画
中盤は、映画に使われていたセットや人形、および、映画にまつわるスケッチやメモなど。どちらかというと、このあたりは、このようにして映画がとられていたのねというような資料的な展示。やはり、そこから何かを感じようとすると映画を見るしかないのかなっって気がする。絵画など
後半は、ヤンとエヴァの絵画が並ぶ。ここにもグロテスクな世界が展開されていて、それはそれで面白い。結局そもそもにある、グロテスクなものや、漂流物的なものに対する彼らの興味がさまざまな媒体を通じて作品として展開されているということなのだろう。グロテスク
で、グロテスクとは、というのを考えると、何故そう感じるのかはちょっと難しいのでおいておいて、グロテスクなと感じるものは、それは超生命的なものであると思う。つまりは、流血だとか、内蔵的なものであるとか、普段は表層には出てこない生命的なものが表出したときにグロテスクと感じる。それは、性的なものも含めてそうだろう。それは、時に我々はあえて包み隠すものでさえある。倒錯
何故、我々はそれらを包み隠してしまうかというと、それは、鶏と卵的な表現になるが、グロテスクに感じるからだと思う、もちろん、逆の考え方もあるだろうが。一方で、そういったグロテスクなものに惹かれる面はすくなからずそれぞれの人の感情にはあるだろう。それを倒錯ととってしまっていいものか?時に、我々は包み隠しすぎるが故に、精神の圧迫を感じる。そう考えるならば、それをあえて、解放しようとするシュバンクマイエルのその作品が、ある程度の支持を受ける理由がわかる気がしてくる。
それは、ある種の欲望を達成しようとすることのシンパシーかもしれない。我々は思っている以上にシンパシーを必要としている気がする。
いかがでしょうか
ということで、まだシュバンクマイエルの世界をご存じない方は、ちょっとこの展示を覗いてみるのもいいかもしれない。映画から入るという手もあるかもしれないけれども、映画によっては、本当にそのグロテスクさに押し返されてしまうかもしれないので。まずは、この展示あたりから彼らの世界を覗いてみるというのはいい選択な気がします。関連リンク:
ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展〜映画とその周辺映画「サヴァイヴィング ライフ」公式サイト
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発売元 : 国書刊行会
発売日 : 2011-02-21 (大型本)
売上ランク : 58900 位 (AMAZON.co.jp)
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