衝撃的な映画「アンチクライスト」



ラース・フォン・トリアー監督

過激な描写によって、カンヌ映画祭でも物議を醸したという作品、「アンチクライスト」を見に行ってみた。ちなみに、この作品の監督、ラース・フォン・トリアー監督は、ダンサー・イン・ザ・ダークなどで知られる監督である。





ウィレム・デフォー

出演は、ウィレム・デフォーシャルロット・ゲンズブールで、この二人が、夫妻という設定。この夫妻の子供ニックが事故で亡くなってしまうところから物語は始まり、その自責の念に苛む妻と、それを支えようとするセラピストでもある夫の二人のやりとりがずっと描かれ続ける作品。


過激

冒頭に「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の監督と書いてみたけれども、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」をイメージしてこの映画をみるとひどい目に遭うと思う。描写がとにかく過激な映画で、扱っているテーマも、そのタイトル「アンチクライスト」が示すとおりで、重い。
しかも、その過激さは、性描写の激しさのみかなと私は思っていたのだけれども、それだけではなく、流血的な意味でもグロテスク。シュバンクマイエル監督なんかのグロテスクさにも近い気がするが、それよりもより切実にグロテスクで、直視しにくい。確かに、この作品を日本でもちゃんと公開できたのは驚き。ちなみに、この作品はその過激な描写故に、日本公開版は修正がかけてある場所がある。


構造

プロローグがあって、その間に3章があって、エピローグがあってという形式になっている映画。そのほかに、3種類(鹿、狐、烏)の動物が象徴的に現れてくるなど、その構造や象徴性にも意味を持たそうとしているところから、思想的側面も感じさせる映画。
ただ一方で、二人だけの密室状態(特に途中からは山小屋の中)におけるやりとりを描いているところもあり、サイコホラーの側面も持つ作品。
私個人的には、キリスト教や悪魔思想への理解が少ないためなのか、後者のサイコホラー的な側面が強くて、思想的には深みがあるようにはあまり感じなかった。


女性性

思想的な側面でいうと、むしろ女性性を強く意識した作品でもあるように感じた。子供に対する母性のみならず、性行動という意味での女性。そして、古くにあった女性に対する蔑視の歴史への言及。そして、女性の中にある悪魔への言及。切除など。しかし、女性が観るとより不快に感じるのではとも思ったが、実際のところどうなのかはわからない。


変換

この映画は、明らかに、途中で展開が変換される。それは、二人が山小屋へ移動するあたりから。この映画で宣伝で語られている部分と直結する展開はそこまでで、それ以降は、宣伝で語られている内容とはまるで異なる世界へと突入していく。
一瞬過激な描写ながらヒューマンドラマであるのかと思わせるのだけれども、これ以降でサイコホラーへと変換されていくので要注意である。


要注意

ただ、この主演の二人の演技力はすごいなとそれは思います。
でも、後味はかなり悪い映画ですので、要注意です。


関連リンク:
映画「アンチクライスト」公式サイト
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