PCを音源として音楽をいい音で聞く方法を考える〜実践編その1 ソフト環境



PC音源

さて、昨年の年末ごろに、PCを音源として、少しでもいい音で音楽を楽しむののにはどうしたらいいだろうかということをちょっとしたところから、大袈裟なところまでまとめてみた(初級編中級編上級編)。
そんなことをまとめてみたのも、実際に我が家にも本格的なPCオーディオ環境を構築しようと思ったからに他ならない。ということで、昨年末から徐々に構築していった我が家のPCオーディオ環境がどのようになったかということを、実践編としてまとめていきたい。


大枠

まとめの中でも言及したけれども、実際にはいくつかの方法が存在する。大きく分けるとNASにデータをためて、ネットワークオーディオプレイヤーで再生する方法と、PCに溜めた音源をPCで再生、DA変換して既存のオーディオに入れる方法。私は、今回はとりあえず、後者を選択した。というのも、ネットワークオーディオプレイヤーはまだまだこれからの世界で、今後もいろいろなハードが出る可能性があるのではという思いがあること。それから、PCで再生する環境を構築する方が何かと安価に済みそうだし、データ部分だけNASに入れれば、ネットワークオーディオプレイヤーを使用する環境へ移行するということもゆくゆくはできるだろうということで。


PCの準備

まずは、PCの準備から。最新のPCを使う方がなにかといいかもしれないのだけれども、今回はちょうど我が家に捨てようと思って放置していた Windows XP マシンがあったので、それを眠りから起こして使用することにした。なので、スペック的にはそれほど高いものではない。ただし、実際に音楽を聴くことを考えると、起動の敏速さは必要。ということで、とにかく、いらないソフトは消しに消しまくって、音楽環境に対して必要なソフトのみになるようなところまでハードディスクの中身をシェイプアップさせた。ちなみに、当初は、Linux の採用についても考えたのだけれども、後ほど言及するソフトウェアの充実度の関係から、Windows XP のままとすることにした。


ソフト環境

続いて、ソフト環境について。PCでの音楽再生のためには、大雑把には二つのソフトが必要になる。一つは、CDからデータを抜き出すリッピングソフト。そして、もう一つは、実際に再生を行うミュージックプレイヤーソフト。両者ともいろいろとあるのだけれども、ネットでの評判などから、リッピングソフトは、Exact Audio Copyを、ミュージックプレイヤーソフトには、foobar2000を使用することにした。なお、音質については、別のプレイヤーなどをインストールして比較をしたということは私自身では実施していない。だが、この二つの組み合わせが一番いいというのが、ネットの評判から私が判断した結果です。
では、これらをどのような設定の元に使用しているかをまとめていく。


EAC

さて、まずは、Exact Audio Copy (以下EACと表記) の設定から。このソフトを使うと、単純に音源をリッピングするだけではなくて、曲間などにあるギャップも正確に把握することが出来るので、まるままコピーCDを作ることまで可能になる。また、リッピング時にはエラー補正をしながらリッピングするのに加えて、リッピング結果をネット上のデータベースと比較して、正確にリッピング出来ているかを判断してもくれるという優れもの。ただし、フリーソフトであることもあってちょっと設定が面倒でもあるので、私が使用している設定をまとめて見る。


フォーマット

まず、私自身は、リッピングした後の音源のフォーマットとしては、FLAC を採用している。これは、可逆圧縮のフォーマットであることから、ある程度の容量の削減をしながらも、音質を劣化させないフォーマットである。Apple 系のソフトなどでは、対応していない形式なのだけれども、それ以外のところでは比較的広く使われている形式なのでこのフォーマットにした。なお、EACではこのフォーマットへの変換は標準ではないので、別途FLACソフトのインストールが必要でこちらからダウンロードすればいい。


EAC設定

で、設定です。実際に本当に正確にリッピングしようとした場合には、より良い設定があるみたいだけれども、私は、実際にリッピングに掛かる時間も考慮して以下にまとめていく設定を選択した。なにせ、リッピングしなければならないCDがおそらく、1000枚以上あるので。


圧縮設定

セッティング内容は多岐にわたっていて私自身もいまだにどれがベストなのかよくわかっていない。基本は、EAC-Configuration Wizard に従って行っていけば実用十分だと思う。ただし、デフォルトとは異なるセッティングとするところは、先ほどのファイル形式のところで、EAC-Compression Options で、External Compression タブの内容を変更して、FLAC形式で圧縮できるようにする。つまり、以下のように、先ほどインストールした FLAC の場所を指定して、コマンドラインとして、[-6 -V -T "ARTIST=%a" -T "TITLE=%t" -T "ALBUM=%g" -T "DATE=%y" -T "TRACKNUMBER=%n" -T "GENRE=%m" -T "COMMENT=%e" %s -o %d] を書き込んでおけばいい。





freedb設定

それから、CDの中身(タイトルや曲目)を自動的に判別できるようにする設定もしておくべきで、EAC-freedb / Database options で、freedb タブの内容。以下のように、サーバーアドレスを http://freedb.freedb.org:80/~cddb/cddb.cgi にしておけばいい。ちなみに、私は海外音源CDばかりなのでこの設定で問題無いが、日本の音源が多い場合は、別の設定がいいという話も良くネットで見かけたので、このあたりは調べてみた方がいいだろう。





リッピング実行

あとは、実際にCDを入れてリッピングすればいい。ここで、先述の通り、EACは曲間のギャップまで正確に調べることが出来るソフトになっている。Action メニュー以下には、それをおこなうためのコマンドが用意されている。私も、最初はこのあたりを利用して、Detect Gap をしてから、Test&Copy Selected Tracks とやってみて、さらに、Test 結果とCopy 結果のCRCに差異が無いかのチェックをするなどしてみたのだけれども、とにかく時間がかかる。ということで、私は早々にこれを諦めて、CDを挿入後、正確にCD情報が読み取られていることを確認すると、メイン画面の左に用意されている MP3 アイコン(これが圧縮リッピング用のショートカットで、上記のようにFLACに設定していれば、このアイコンでFLAC変換までしてくれる。)を クリックしてリッピングを始めるという簡単ルーチンでリッピングすることにした。


foobar2000

次に再生用ソフトfoobar200の設定。こちらは、基本フリーのソフトで、さらに、その多くの機能が、component と呼ばれるアドインソフトにより拡張可能となっており、世界中の多くの人がこの component を作成してくれているので、いろいろと探すといいものがごろごろと見つかる。つまりは、ベースの機能にプラスして欲しい機能を追加していけばいいと言うこと。
ということで、ただ、再生するだけならば、特にいろいろと設定しなくても、先ほどの EAC で取り込んだ音源をおさめているディレクトリを指定してやれば、それだけで再生出来るのは、iTunes をはじめとしたソフトと特段変わりはない。ここでは、より便利に音楽を楽しむために私が導入している component とその設定をまとめていく。
ちなみに、component の導入方法は、File-preference で、左メニューの一番上、Components を選ぶと、右側に 導入されている Component 一覧が出てくるので、あとは、下の Install... ボタンをクリックしてから、ダウンロードした Component ファイルを選択すればいい。なお、フリーソフトである関係上、開発が途中で中断していてうまくインストールできないのも多数あるので、そこは、諦めるしかない。
なお、私の環境は、WindowXP で、foobar2000 v1.1.1です。


Last.fm

まずは、音楽を聴いているととりあえず、何がそれほどいいかは別として、自分の再生した曲をどんどんと Last.fm に上げておきたいものである。これは、iTunes などでは分かりやす場所にソフトが用意されていて、それをダウンロードすればうまくいく。なので導入している人も多いだろう。それを、foobarでやるには、foo_audioscrobbler という Component を入れてやればいい。例えば、こちらからダウンロード出来る。あとは、preferences 内の Tools-Audioscrobbler 内で、ユーザー名などを入力すればいい。ちなみに、Last.fm 関連で言うと、自分の再生記録から生成される Internet Radio を foobar上でならすことも出来て、それは、Last.fm Radio という Component で、foo_lastfm_radio。こちらからダウンロード可能。


インターフェイス

主に、セッティングとしていじりたくなるのは、インターフェイス関連。もとのままだと味も素っ気もないので、そんなときには、まずは、Columns UI (foo_ui_columns) でインターフェイスをいじっていくのが定番みたい。こちらから、ダウンロード可能。で、これは、かなりいじりがいのある拡張なので、とにかく、いろいろといじっていって、自分の好みに変えていくというところか。ちなみに、いじった結果をファイルにしてアップしているケースもあるみたいで、ネットを探すと結構超絶なインターフェイスを見つける事が出来る。


カバーフロー

で、この Columns UI をさらに拡張させる Component もいろいろあって、UI として設定する Panel の中身がいろいろと準備されている。まずは、やってみたいのは、iTunes のようなカバーフロー。これを実現させてくれるのが、Cover Flow (foo_bubble_coverflow)で、こちらからダウンロード可能。


レベルメーター

で、デフォルトでも周波数スペクトルが出てくるのだけれども、これがなんとも地味。というのも残念なので、これももうちょい、見栄えのいいものに変えてみようかということで、いろいろあるけど、例えば、Peakmeter Spectrum Visualisation (foo_uie_vis_peakmeter_spectrum)で、こちらからダウンロード可能。だいぶ、こじゃれてきました。


歌詞

折角デジタルになったのだから、むしろ普通のCD再生にはない楽しみも加えたいところ。そこで、入れておきたいのが、歌詞を表示させる機能。これで、ライナーノーツを引っ張り出してくる必要性もなくなる。いくつか、あるみたいだけれども、とりあえず今私が使用しているのは、Lyric Show Panel (foo_uie_lyrics2)。一応、こちらからダウンロード出来ますが、どうも開発が途中で止まっている状態みたいですので、状況は流動的。


ボタン

その他、再生ストップなどのボタンは任意の画像に変更することが可能で、これは、ツールバーの再生ボタンのあたりで、右クリックしして、Options を選ぶことで設定画面に移動出来ます。ここで、イメージを変えたり、表示する項目を選択することが可能。ボタンの画像を変えるだけでも結構イメージは変わります。


こんな感じです

他にもいじりようはあるみたいですが、上記の Component を利用して構築した現在の私の foobar はこんな見た目。最後は、デザインセンスによるので。。。。。。。





遠隔操作

その他に、私がこだわって設定検討したのは、遠隔操作。


UPnP/DLNA

UpnPDLNA と呼ばれるものが、ネットワークオーディオにおける遠隔でのオーディオコントロールの規格みたいなもので、foobar にもその機能を埋め込むことは可能です。それを実現するのは、UPnP/DLNA Renderer, Server, Control Point (foo_upnp)で、こちらからダウンロード可能。これで、例えば、iPhone に、MLPlayer Lite や、PlugPLayer を入れておくと、iPhone から操作可能という具合にもなり得る。ただし、私が使った範囲では、どうも、実用的ではなかった。あと、注意は、これで再生するとき FLAC が対応していないもので再生する場合には、Serever の Streaming 設定で、MP3変換してストリーミングするように設定変更しないといけない。


Remote

別の方法では、AppleiTunesiPhone から操作する方法として、iPhone の Remote というソフトで可能になっているのだけれども、これを、foobar で使用することも可能。それを可能にしてくれるのが、iPone/iPod Touch Remote support (foo_touchremote) で、こちらからダウンロード可能。これは、Bonjour Service を利用するので、それをインストールしておく必要があるが、iTunes をインストールしていると自動的にインストールされている。
ただ、これも、私の環境では、もう一つ使い勝手が良い状態にはならなかった。


結局 VNC

そんなところで、いろいろと遠隔操作を考えていたら、結局 foobar の機能ではなくて、PC側に VNC ソフトを入れておいて、iPhone 側にも VNC ソフトをいれておいて、家の中を無線LAN環境を構築しておいて、VNC経由で Windows にアクセスして、foobar をいじるのが最も便利だったりした。


再生

ということで、長くなりましたが、あとは、PCのUSB出力と我が家のCDプレイヤー Esoteric の SA-50 の持つUSB入力とをUSBケーブルでつないで、我が家のオーディオ環境からPC音源を再生している次第です。


ハード編

とりあえず、ソフト編はこんなところです。次回は、その結果出てきた音の特性を少しまとめると共に、ハード編ということで、PCのハードに手を加えたところを少しだけまとめていきたいと思います。