とても刺激的な映画、ゴダール・ソシアリスム に衝撃を受けました



ゴダール

ヌーヴェルヴァーグの旗手、ジャン=リュック・ゴダール、御年、80歳くらいになるのだろうか。こういうとなんだが、もうかなりのお年である。その、ゴダール監督による映画「ゴダール・ソシアリスム」が、公開されたので、早速見てきた。


意欲的

この映画、その監督の年齢を感じさせないすさまじい意欲作である。もともと、映画に新しい波を起こした監督であるのだけれども、この作品もまた、既存の映画の枠組みを大きく飛び越えていくようなそんな作品。
この作品には、何一つ、明確な物語は無い、と言っていいだろう。3部構成のその作品は、各舞台において、情景が展開されて行くのみ。。断片的な映像が、並べられる。それは、時に画素が荒いそれであったり、風の音に支配されていたり。そう、描くことすらどこか拒否しているようでもある。


舞台

豪華客船の中の情景から始まる。様々な人種が入り交じり、様々な言語が聞こえてくる。そして、それは、一般的な会話というよりも、どこか、哲学めいている。様々な表情を見せる海が時に映し出される。
そして、舞台は、フランスの片田舎に移る。両親、子供、テレビクルー。一体何を議論しているのか。政治による変革後からは、誰の手にあるのか。
舞台は、また変わり、過去へと遡っていく。様々な文明が回顧される。遙か昔から、近代史の世界まで。人類の歴史、文明の歴史を回顧するように。そして、都市を移動する。それは、豪華客船の辿る道筋と同じように。
そして、映画は終わる。


テキスト的

この映画、その断片的な映像こコラージュにも特徴を感じるがそれ以上に私が感じたのは、この映画に込められたテキストのエネルギー。コラージュされた映像の狭間には、テキストそのものが挿入されもする。そして、さらに、登場人物の放つ言葉は、それは、日常会話という領域の言葉ではなくて、なにかを投げかけるのようなそんな言葉である、それは、そう、まさにテキストを吐いているというべき状態である。


すばらしい

そう、文学も愛している私としては、むしろ、文学作品において、このようなテキストを巧みに操る作品が出てくるべきではないかと考えていた。それを、むしろ、映像を操る映画の側から提示されたというのは、衝撃的でもある。このあまりにも多様性を許容しようと試みているこの世の中においては、もはや、ひとつのわかりきった価値観を提示することではどうにもならない。そして、ただ、投げかけることしかできなくなる。そのような世の中を見事に描ききった作品だと思う。私は、こういった表現は、むしろ、文学でないと出来ないと考えていたのだが、それを映像で見事に描いているとは、なんともすばらしすぎる。


難解だが

ただ、映画としては、やはり、少々難解で、単調でもあるので、結構眠くなる。お薦めしたい映画だけれども、気合いを入れて見る必要はあると思う。


関連リンク:
映画「ゴダール・ソシアリスム」公式サイト
関連サーチ:
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