倉橋由美子 パルタイを今頃読んでみる



読み損ね

実は、結構本を読んでいても、つい、読み損ねている作品があったりするけれど、私にとってのそれは、例えば、倉橋由美子作品。
実は、今まで一作品たりとも読んだことは無かった。
ということで、何となく本屋で手にしまった勢いで、読んでみた。
初期の短編集である”パルタイ


学生

学生の臭気がぷんぷんとする作品集。様々な文学の影響を感じさせながら、いずれの作品も、学生運動の背景を感じさせながらの学生の感覚を強く感じさせる作品(実際、作者が学生時代に執筆したものでもあるのだから)。
いずれも共通しているのは、全体理想というのか、集団の中での、さめた個人を強く感じさせる物。学生運動を含んだ、学生時代特有のある種の強引な所属感の一方で、反社会としての非所属感。しかし、結局いずれも所属を個人のアイデンティティのよりどころとしているという事に変わりはなくて、個人のアイデンティティを個人として担保しようとしている姿勢ではないと、そして、そうではなく、個人として存在しようとする存在が、強く描き出されていると感じる。


時代

そういったところが、ある意味では、時代を感じさせてしまうところが、今更ながらに読んでみると、なんとなく懐かしい感情のような物を感じる一方で、そういった、懐かしさしか感じることの出来ないところが、作品としての限界であるのかもしれないと感じる。
やはり、ここで描かれているのは、明らかに矛盾した集団存在の孤立性に対する疑問に過ぎなくて、積極的な個存在のその孤立性とその孤立性の持つ意義については、深くは言及されていないように感じる。まぁ、そこまで踏み込んで書かれ、しかもその表現に成功しているた作品なんて世の中にはそれほど無いのだけれども。


時に

時にこういった作品を読むというのも、いいかもしれない。また、適当なときに作者の別の作品も読んでみたいと思う。


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パルタイ (新潮文庫)
発売元 : 新潮社
発売日 : 1978-01 (文庫)
売上ランク : 151008 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 420 通常24時間以内に発送
評価平均 : /2人
無題。
悪夢を楽しみたい方に。
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