トマス・ピンチョンの「LAヴァイス」を読んだ



LAヴァイス

トマス・ピンチョンの既刊は、新潮社のトマス・ピンチョン全小説によって続々と刊行されていて、「LAヴァイス」もその一つ。ちなみに、このシリーズは、予定から遅れに遅れている「重力の虹」を除いて全て刊行済み。
で、「LAヴァイス」を読んでみました。


絡み合いながら

ちょちおダメ男感もある私立探偵が元彼女から受けた依頼を中心に物語は進展する。その男にさらに別なのだけれども関連する依頼が他の人物から投げかけられ、そして、さらに過去の依頼者も絡んでくる。またまた、彼の近くにいる彼を取り締まろうとしているのか利用しようとしているのかよくわからない警察官も絡み合う。


展開

そんなこんなで、いつものピンチョン作品と同様、複雑に脱線しながら、複雑にそれぞれの物語が絡み合いながら、一体どの筋がメインで、どの物語が本当の事件で、誰が何を企んでいるのかが、混然としたまま展開していく。


映画的

この作品は、すでに、映画化が決定していて、ひょっとしたらすでに映画撮影が行われているのかもしれない。
まさに、その映画的な要素を強く感じる作品。トマス・ピンチョンの作品は、複雑度があまりにも高すぎることとイメージが豊饒過ぎるが故に、映画化するには、画面展開をどうするのかも含めて映像化困難であり、文学であるが故に堪能出来る世界とも感じるものが多い。
ただ、この作品は、どちらかというと、ストレートにも感じるところがあり、また筋展開も最近の映画に流行の観客をミスリーディングしながら物語の迫力を維持し続けるような手法がとられていて、まさに映画化にはうってつけの作品とも言える。


わかりやすい

その分、文学としてはわかりやすいとも感じる。哲学的な深さもそれほど感じさせずに、ストリーテリングに徹しているようにも思う。
なんというのだろうか、そこには時代を読んでいるという要素もあるのかもしれない。
その意味では、トマス・ピンチョンの作品をまだ読んだことのない人にとっては、最初に読む作品としてはいいように思う。


関連リンク:
トマス・ピンチョン全小説|新潮社
ポール・トーマス・アンダーソン監督がトマス・ピンチョンの小説
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トマス・ピンチョン全小説 LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)
発売元 : 新潮社
発売日 : 2012-04-27 (単行本)
売上ランク : 223636 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 3,780 在庫あり。
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