パラレル・ニッポン:東京都写真美術館

1.概要
日本国内にある様々な建築物を紹介する展示。テーマにしたがって二つずつ対にして紹介している。一部模型もあるが、基本的にはパネル展示であって、写真と説明文というものなので、鑑賞というよりはある視点で切り取った建築に対する視点を読むという感じ。使われている写真も特に芸術的ではなく、普通のもの。ある意味では、学習用教材的でもある。なので、網羅的に見ることは出来るが、面白いと感じることができるような展示ではない。


2.何処にあって・・・
この展示について、失敗ではと強く感じるところの最大のところは、全体を見終わったときに感じるのが、建築に対する感動ではなくて、一体何処にお金があって、そして、何処が人の気を引くことで人を集めようとしているかが、やたらに明確になってしまうというところだと思う。ここに紹介されている建築物のクライアントが誰なのか、どこから、お金が出ているのかを考えると、あぁ、そこにはお金があるのね、そして、お金をつぎ込んでさらに人を呼び込みたいのですね、ってな思考の展開に陥ってしまう。まぁ、それがある種、建築の宿命ではあるのだろうけれど。


3.存在する場所が消えて
ただ、そう感じてしまう一因はその建築物の存在意義がその場所に融け込んでいるかどうかというところで、融け込んでいるとは感じられなかったことに寄るのかもしれない。それは、建築物だけの責任ではなくて、やっぱり展示のほうにも責任があると思う。建築物だけがクローズアップされた写真であるが故に、その存在の地域との関連性が見えなくなってしまっていて、そういった建築の属性が全く見えなくなってしまっていた。そのあたりにも配慮した展示にすべきだったのではないかと、個人的には思う。その方が、建築物への愛着がもっとわき出てきたのではと思う。


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