サルトルの世紀 R・H・レヴィ

生誕100年つながりで、今度は、サルトル
ここのところ、密やかなブームも感じられていたサルトル
サルトルも今年が生誕100年としての節目であり、関連書の出版ラッシュ。
その中でも代表格が「サルトルの世紀」 R・H・レヴィ 藤原出版。
ここのところ、このblogでも20世紀の芸術・文化を再度捉え直してみるべき
と主張してきたが、ある側面からという意味では、この書籍は最適だと思う。
20世紀の一つの側面としては、サルトルが存在できた時代という面もある。
模索の要素が強かった20世紀であったが故に、様々な分野で英雄が成り立ち得た。
その代表格がサルトルといえるのではないだろうか。
そのサルトルを中心とした20世紀への言及としてこの書籍は非常に貴重だと思う。
今のところは、まだ読み始めたばかりであるが、文章は奔放な書きぶりで
分析書、解説書的な構成ではないために読みやすいが、論理が中途半端な印象。
ただし、それはあえてそのような文章にしているとみるべきであろう。
21世紀はすでに構築されたものをどのように再構築するのかが課題となってきて、
ますます価値は拡散しながらも経済的価値が大きな意味を持ち始めるだろう、
すでにその兆候が見られているように。そこでは、サルトル的な圧倒的な影響力は
もはや生まれ得ないに違いない。
20世紀人サルトルを振り返りながら21世紀を眺めてみるのもいいだろう。


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