ICC閉鎖?その1

近頃美術館の閉鎖、休館が相次ぐ中、私が非常に愛好していたICCもその仲間入り
という噂がかなり現実的な流れ方をしています。
(まず先日もここに記載したように、昨今の東京都現代美術館を批判し、ICCを評価してみたが、
これが足下から崩れる状況になっていたということである。)
ここ最近の流れからすると、企業内では直接的な費用以外のもののリストラ、
公的なものでは民営化もしくは廃止ということが盛んに行われている。
失われた10年の付けをさらに失うことで行おうとしているという見方も一つだし、
失われた10年になしえなかったことをここで行って全て刷新するという見方もできるだろう。
私自身も、多くの民営化やリストラそのものに、その行為だけを持って批判するつもりはない。
昨今話題の郵政民営化についても、基本的には賛成である(ただし、小泉氏のやりかたには反対)。
郵政の話はここでは収拾がつかなくなるのでここでやめるが、こと公共美術館の民営化については、
いろいろと言いたいことがある。このあたりのことを少し考察してみたい。
今回はその第1弾として、ICCのみに注目したい。
ICCはそもそも電話事業100周年を記念した事業としてスタートしている。
(1990年に構想を開始して、1997年にオープン)
年代からしてバブルの余韻があった、もしくは、NTT(ICCの元をたどるとNTTにたどり着く。)自体が当時は
非常に好調であった。
それがここにきて社会的不況およびNTTグループ自体の不調が重なり合ってやってきて、
結果としてのひずみがICCにやってきたという側面もある。
また、そもそも経営自体は苦しく常に紆余曲折の歴史をたどっているようだ。
実際私自身もその内容を高く評価しながらも、これは確実に採算はとれていないと思っていたし、
そうであるが故にNTTの心意気を感じてもいた。
しかし、やはり現在の社会はそういったものは
許されないというのが現実ということで、今回の閉鎖への流れができたのだろう。
ただ、一方で現代美術にしては立地もあってか多くの観客(特に若者)を動員していたようにも思う。
さらにすぐ近くにあるオペラシティ美術館との相乗効果もかなりあったと思う。
また、メディアアートという視点での美術館は珍しく、美術上は非常に意義深い活動を
ICCはしていたのではなかろうか。つまり、経営的なことを除外すると、
その存在価値は大きかったように思う。特にこれから美術を目指す人々にとって、
また、そういった美術を愛好する人々にとっては非常に重要な受け皿であったのではなかろうか。
それがなくなるわけだ。私には、非常に大きな文化を失うことになる気がしてならない。
もちろん、経営的なことを無視するわけにはいかないのも事実である。
ただ、ここで思うのが、ICCを実際に運営している人々の情熱とNTT本体の情熱に隔たりがあるのではないか
ということ。結局、NTT自身は大きな思い入れはないままにバブル的発想で
運営し始めてしまったため、
採算のみを突きつけて解散しようとしてないだろうかということを感じるが、
あくまですべて私の想像で真相はわからない(できれば理由をありのままに公開してほしい)。
やってみることも簡単、つぶすことも簡単、しっかりと意思を持って続けることがもっとも難しい。
そういうことなのだろうか。
とにかく残念で仕方がない。

女子美術大学メディアアート学科ブログ:「ICC存続支持メールのお願い」
http://me2me.boxerblog.com/semi/2005/07/icc_f339.html