六本木森美術館で子供視点「ゴー・ビトゥイーンズ展」



ゴー・ビトゥイーンズ展

夏休みに入りつつある世の中と言うことで、美術界も、今年は特に子供を視野に入れた展示が多くなっているような気がする。
安易にキャラクターもので子供の入場を増やすという試みよりは、美術という視点からしっかりと子供にアプローチしようとする姿勢は賛美すべきであろう。


価値観の拡大

一部、写真撮影も許可されている展示なので、きっと小学生くらい以上であれば、一緒に行って、子供は(時に大人も)理解しきれないまでも、日常とは少し違う価値観に遭遇するということはいい経験だし、写真を記念として残すことも出来るだろう。


子供を通して見る世界

ということで前置きが長くなりましたが、展示の方です。副題「子供を通してみる世界」ということなので、モチーフが子供である展示が並ぶわけです。確かに、キュレーションという意味での面白さとしては、こういった世代を切り口にすると言うのは珍しいので、興味深い展示である。実際転じないようも、写真から、絵画オブジェや、イベント的なものまでと、さらに新旧や国内外も含めて多次元に多様性が詰まった展示でもある。


子供視点だが

ただ、子供視点という展示であるものの、実際子供がどこまで楽しめるかというとそれは疑問があるだろう。むしろ大人が一生懸命子供視点になろうとしているという要素が強い作品が多い。このあたりは、このキュレーションの面白さと同時に難しさがあったのか、作家の力不足というところもある。


子供の世界

子供は子供でそれぞれの世界を持っていて、それは、大人の作り出した環境にも影響されて、というような主張が目についたが、それこそが大人視点であって、その展示を子供が見て、一体何を感じるのだろうかと疑問がわく。また、その子供にはあるだろう独自世界というものをただ、そう描いてしまっているだけで、抽象化がなされていない上に、面白みという処理もないとなると、なかなか作品として評価するのは厳しい。そんななかであると、奈良美智の作品には、さまざまな含意があって、レベルが違うと感じさせられる。


それぞれの

子供には、それぞれの世界があるだろう。当然ながら。それは大人も同じである。なのに、それを特別な何かと描いてしまうのは、それは、やはり、大人が子供を定義してしまっているところがあって、それに対する感覚にすぎない。つまり、ここで描かれていた多くの子供視点というのは、最初にも書いたけれども、大人視点である人による子供視点でしかない。だから、はっきりいって、この展示から何か新しい視点が得られたかというと疑問だ。一方で、これも先に書いたが、子供世界に浸りきれていないから、子供が、では、何かを感じえるだろうかというと、その面でもなかなか微妙でもある。


今後に期待

トライアルとしては悪くないが、しかし、この展示はどうかな。惜しいという感じが個人的にはした。ただ、こういったことは今度もどんどんと続けて欲しい。今後に期待がしたくなる展示でした。


関連リンク:
展覧会について | ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界 | 森美術館
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ゴー・ビトゥイーンズ展: こどもを通して見る世界
発売元 : 平凡社
発売日 : 2014-06-18 (大型本)
売上ランク : 40634 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 2,700 在庫あり。
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