ドイツの写真家アンドレアス・グルスキーの日本初個展を見てきた



アンドレアス・グルスキー

現在、国立新美術館にて開催されているアンドレアス・グルスキーの個展を見に行ってみた。ちなみに、この展示は、国立新美術館では、9月16日までで、2014年に大阪の国立国際美術館へ巡回する予定になっています。
で、アンドレアス・グルスキーですが、私が最初にみたのは、ドイツの写真家展として、ベッヒャー夫妻を中心とした写真家についての展示があったとき。このときにアンドレアス・グルスキーの写真を初めて見て、かなり衝撃をうけて、それ以来彼の大ファンだったのですが、遂に彼の個展がやってくると言うことでとても楽しみに見に行ってきました。


抽象的具象

グルスキーの作風は、対象を造形的に捉えて、一瞬無機質にも思えるような幾何学的なものとして、写真に写し混んでいくスタイル。なので、まず一見するとそこにある反復パターンであったりというところに印象が深く残る。
ただ面白いのは、その無機質にも思えるとらえ方が、俯瞰でそこにある現実を抽出しているようにも感じるところと、しかし、よくよく近づいてみると、そこには、個人の表情を感じるようなところとか、生々しい現実感を感じるようなところがあって、写真であるが故に、具象がしっかりと映し出されているところ。


対比

それは、ある意味対比にも感じるところがあって、人工的に統制をはかられているものと一方で自然現象のままであるような様子だとか、画一的にみえるパターンながら、それを作り出しているものは個性的なものであるとか、雄大大自然にたいする、点在する人間であるとか。
先述の抽象と具象もそうなのだけれど、一つの写真の中に、対比が存在していて、これが、またじっくりと写真を見つめ続ける楽しさにもつながっている。


バンコク

個人的にこの展示でもっとも面白いと感じたのは、「サイゴン」のシリーズ。一見なんともない河川に映り込む光と影をうまく利用して、まるで抽象がのような世界を画面上に作り出している。しかし、そこにはよく見ると河川の汚れやゴミなどがあって、生活感がにじみだしている。正に、先述の対比が表現されている。


再解釈

そういった意味では、グルスキーの作品というのは、絵画の世界で起こっている抽象絵画の再解釈のようにも感じられる。具象にしか成らないはずの写真という世界から、抽象的な要素へと踏み込むことで、そもそも絵画の世界で描きだしている抽象的な世界は、確かに、日常の風景の中から抽出され得るものであると言うことが、彼の作品から証明されていて、そのことで、抽象絵画の意義というのが再解釈されているとそんな風にも感じた。


面白い

と、まぁいろいろとややこしいことを書いてみましたが、純粋の造形として面白いので是非とも楽しんで鑑賞してみるといいのではと思います。お勧めな展示です。


関連リンク:
ANDREAS GURSKY | アンドレアス・グルスキー展 | 東京展 : 2013.07.03-09.16 / 国立新美術館 | 大阪展 : 2014.02.01-05.11 / 国立国際美術館
国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO
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