アメリカ前衛アートの巨人 ジャクソン・ポロック
ジャクソン・ポロック
ジャクソン・ポロックといえば、絵の具を垂れ流すように描くドリッピングという技法による抽象絵画で有名な人物。その絵画は非常に有名なのだけれども、意外とその作品を一堂に会して見る機会はあまりなかった。
そんな、ジャクソン・ポロックの生誕百年を記念した初期から晩年までの作品を集めた展示が、東京国立近代美術館にて開催中なので、いってみた。2012年5月6日まで。
初期から
作品は、初期の作品から晩年まで時代をおうように展示されている。初期の作品は、強い色彩と線により構築されていて、土着のアートからの影響も強く感じさせる作品群。ドリッピングの作品が有名すぎて、このタイプの作品は私も初めて見た。
土着的なところに近づくことで、どろどろとしたエナジーにあふれる作品となっている。
変遷
そこからは、むしろ、その太く濃い線は、薄い線へと変化し、その太い線により分け隔てられていた空間を埋めていた豊かな色彩は、薄まっていく。そして、線は、より自由になり、空間を勝手に動き回るかのような絵画へと変化していく。絵画そのものも、無焦点的で無中心な全画面的なものへと変化し、抽象美術家たちが追い求めた方向性と同じ傾向を持ち始める。
そして
そして、その自由になった線が、初期の色彩と融合し、色彩を持った線へと変化、それがドリッピングによって画面へと散乱する。そう、ついにその境地にたどり着いたということ。自由度と色彩を得た線は、その平面からも脱出して、空間から画面へと向かって落とされているという、独特の画法が確立する。
絶頂期
いわば、ポロックの絶頂期の作品が現れてくる。したたる絵の具で埋め尽くされた作品。画面を自由に動き回る色彩と形状に満ちた線。それは、感情の激流のようでもある。一方で、その線の流れは、書道的とも感じ取れてくる。米国由来のネイティブな表現から出発したポロックが東洋的な書道の要素感じさせる領域にたどり着いたというのは、なんとも面白い。また、それは、古来からずっと人間か相対している自分自身の内面のあまりにも生命的すぎる激情を示唆しているのかもしれない。
圧巻
その絶頂期の作品の中でも圧巻なのは、テヘラン美術館にあり、評価額200億とも言われる作品、「インディアンレッドの壁画」。そう言われるだけのことはある、圧巻さ。その抽象の中に一体何があるのかと言われるとなかなか表現するのは困難なのだけれども、それは、やはり、内面にあるもやもやとした感覚との交感とでもいうようなもので、何かが刺激されるのである。晩年
しかし、絶頂を迎えすぎるっと、その向こう側が非常に難しくなる。ポロックは、その後、また、黒く太い線により、形象が比較的感じられる作品へと転じていくのだけれども、それらの作品は大きな評価を受けるところまではたどり着くことはなかったという。それらの作品は、その白黒的な要素も相まって、死をも連想させる。それは、絶頂期の作品があふれ出しすぎた生命のエネルギーという作品であるのに対して、死のエネルギーとでも言いたくなるような作品。
それは、あまりにも究極過ぎた作品だったのかもしれない。そして、その制作の苦しみの中、ポロックは事故死することとなる。
圧倒
正直言って、ポロックという名前がメジャーすぎるが故に、逆に、それほど衝撃を受けるような作品は少ないのではと思ったのだけれども、非常にエネルギーを受けることの出来た展示でした。かなり、貴重だと思われる作品も展示されているので、是非とも見に行かれることをお勧めします。
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