アート・オブ・コネクティング 田中敦子展を東京都現代美術館にて



具体

田中敦子は、吉原治良を中心に芦屋で結成された前衛美術集団、具体のメンバーとしても知られる芸術家。特に、いくつもの丸が線で繋げられる画風の絵画や、その絵画の原型ともいえる線でつながれ制御されたオブジェなどの作品で知られる人物。
その田中敦子の回顧展ともいえる展示が、東京都現代美術館にて開催されているので言ってみた。2012年5月6日までで、少し前に紹介した靉嘔の展示と同時開催。


初期から

展示は、初期の作品から始まる。カレンダーによるアートや、舞台作品としての衣装など。日常にあるものに少しだけ変化を加えた作品が並ぶ。
それは、個性の消滅でもあるようだし、個性の再解釈のようでもある。


電気スーツ

そこから、代表作ともいえる展示へと進む。いくつもの照明をぶら下げて作られた衣装。こんがらがっているといいたくほどに複雑に配線された電気。この接続の絡み合いこそが、彼女の作品の原点なのだというのが実感できる展示。それは、遠くまで鳴り続けるベルの作品からも感じられる。とにかく、繋げることによって生まれる何かを提示している。


絵画

そこから、有名な、いくつもの丸とそれを接続するために這い回る線で構成された絵画の展示へと向かう。その道程によって、このオブジェと絵画のつながりが明白になる。
つながることが産み出す何か。そう、何かまではその作品には提示されていない、ただ、つながることのがそこに提示されている。もちろん、そこからも、この展示のタイトルが、アート・オブ・コネクティングであることにつながる。


つながり

そのつながりの意味合いは、この現代において、ようやくより深さが深まり、そして広がっているようにも感じる。インターネット、そして、ソーシャルメディア。今は、むしろ、つながることが、いわば、この展示に提示されている2次元どころではなく、さらに複雑なパスによってつながることが可能となり、そして、そのことが少なからず社会へと影響を与えている。
まるで、その現象を予知していたかのような作品を、田中敦子は提示していたというと、ちょっと大げさで結果論的過ぎるかもしれないが、そこまで、言いたくなってしまうところはある。


再認識

その意味では、このタイミングでのこの展示は、田中敦子作品を再評価する上で、重要な展示であるともいえるのかもしれない。私自身も、彼女の作品の面白さをこの展示で再認識することができたので。


常設展

それから、常設展のほうでは、同じような時期に活躍した福島秀子の作品を中心とした展示も同時期に行われている。
靉嘔、田中敦子、そして、福島秀子の作品と、何か、ある意味では最もアートが破壊的であったアンデパンダンな時代を味わうことが出来る空間が東京都現代美術館に構築されているということ。
この時代を振り返りながら、これからどうすべきか、そんなことも考えたくなる展示でありました。

関連リンク:
東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
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