ウリポ的傑作クノーの「文体練習」を読む
レーモン・クノー
続々と刊行されていくスピードに全く追いつかないものの、少しずつ読み進めているレーモン・クノー・コレクションですが、ついに、超有名な作品「文体練習」が登場したので、早速に挑んでみました。文体練習
この作品をなんと呼べばいいのか、非常に難しくて、そして、結局タイトルそのままに、文体練習の作品ですというしかない感じ。あるバスの中での状況と、そして、そのバスの中にいた男を駅前でもう一度見かけた。というただそれだけのちょっとしたお話がベースにある。
その状況を99の文体で表現してみたというのがこの作品の全てです。
バリエーション
バリエーション変化には、いろいろとあって、純粋に視点を変えたり、表現の丁寧さを変化させたりというのは、当然のこととしてあって、それだけではなくて、だじゃれに近い扱いであったりとか、言葉遊びのようなものであったりとか。さらには、字面そのものの順番を変えたり、歯抜けにしてみたりというところまで。また、言語的に違う国の言語まで富んでいったりもする。何か
この作品は一体何をしてめしているのかと。ただ、文章表現の可能性を広げて示して魅せたというだけかもしれない。もっと言えば、一つの言葉遊びの拡張という意味でもあるかもしれない。無理矢理、壮大めな意味を付け加えてみようとすると、一つの状況の中にある様々な状況やとらえ方を描くことで、そこにある一つの情景が、しかしとどまることの知らないほどの意味を内包しているということを指し示そうとしているのかもしれない。
とはいえ
と、そんなことをいろいとと頭の中でめぐらせながら読むと、結構面白く読めるのではないかなと思う作品です。というか、同じ状況をひたすら表現を変えて描いているので、物語的な何かは当然ながら鑑賞することは出来ません。
しかし、こういう文学というのもあって、そして、こういう文学にもまた文学としての楽しみ方があるということに触れると、文学というものをもっと広く深く捉え楽しめるようになるのではないかと思います。
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