「ホーキング、宇宙と人間を語る」を読んでみた



理系

しばし、このブログの読者からすると私が一体何者なのだろうかと謎を感じている方もいるとかいないとかですが、私は、根っからの理系人間でして、そんなことで、宇宙系なお話も大好きなわけです。
そんなことで、スティーヴン・ホーキングによる最新作、「ホーキング、宇宙と人間を語る」を読んでみた。


何故あるのか

何故あるのか、それは、時に哲学的な課題ではあるけれども、その主語として、この宇宙はをつけて、この宇宙は何故あるのかと題された章で始まるのがこの本であり、そして、それこそが、このほんのまさに主題である。
そのテーマに対して、ニュートンの法則から始まる現代物理を振り返りつつ、最新のM理論による物理学までを言及しながら、解き明かそうとし続ける、そんな読み物。


平易に

ニュートンの法則から、電磁方程式や相対性理論などを経ながら、素粒子の世界に進み、究極の理論M理論へと解説が進む。図解を交えながら比較的平易に、イメージでそれぞれの理論が語られているので、難解な内容でありながらも、主となる概念はつかみやすい内容になっている。また、神という存在にも言及しながらも、その存在の根源には神ではなく、万物の法則があると説いていくあたりは、興味深い。


確定的ではない

そして、我々は、特殊な存在という立場をその物理法則によって失っていく。太陽系の中心であるという存在であることが否定されて、そして、宇宙の中心であるという存在であることも否定される。それは、現代物理をそれなりに教育されている我々にとっては、至極当然のこととして認識できているけれども、しかし、心のどこかでは、我々は特殊な存在であるという意識をどこかに持っているだろう。しかし。


パラレルワールド

しかし、素粒子の世界では、存在は、確率論的であるという。いくつもの世界の可能性があって、そして、計測された時に初めて存在が確定するという。それは、哲学的にとらえてみても、存在というのは単独ではあり得なくて、他者との関係が成立したときに存在が存在たり得ると。


人間原理

しかし、これをさらに解釈していく後半がこれが面白い。一方で、我々の存在が特殊条件下でしかあり得ない奇跡とも思えるそれであるという。アインシュタインが一度は否定した謎の定数、宇宙定数が、しかし、それがなければ理屈が立たないのは何故か。それどころか、地球のその軌道そのものが奇跡的に人間という存在を存在たらしめている状況下にあるという。そのことを元に、人間原理として宇宙を読み解くという方法論もあるらしい。


存在とは

しかし、何故そうなのか。その結論こそが非常に興味深い概念だと思う。私の解釈なので間違っているかも知れないが、以下と理解している。
それは、あらゆる可能性があり得る宇宙において、ただの可能性の一つとして現在があるに過ぎないと。いくつもの宇宙があって、もしくは、ありえて、そして、ここに何となくこの人間が存在する一つの宇宙があるに過ぎないと。そう、特別な地球であるわけでもなければ、特別な宇宙であるわけでもなく、ただの一つの可能性にすぎないと。これは、とても面白い考え方だと思うし、まさに、その概念によって存在をより深く理解できる気がする。


興味

ということで、まぁ、この本ほっといても売れそうな気がするけれども、哲学的な存在論と絡めながらこの本を読むととてもより面白く感じることが出来るのではないかと思います。


関連サーチ:
ホーキング(AMAZON.co.jp)
ホーキング(Google)
ホーキング(Technorati.com)
ホーキング(flickr)
Powered BY AmazoRogi

ホーキング、宇宙と人間を語る
発売日 : 2010-12-16 (単行本)
売上ランク : 1838 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 1,890 在庫あり。
Powered BY AmazoRogi Data as of 2011-02-28
See detail & latest visit AMAZON.co.jp