おもわずわくわくしてしまう多宇宙の世界を紹介する「隠れていた宇宙」を読んだ



ブライアン・グリーン

超ひも理論学者でありながら、その難解な物理による宇宙論をわかりやすい書籍にまとめている科学者ブライアン・グリーン。そのブライアン・グリーンによる新たな作品「隠れていた宇宙」を読んでみました。
ちなみに、過去には、「宇宙を織りなすもの」や、「エレガントな宇宙」といった書籍もあり、和訳されている。


多宇宙

この書籍も超ひも理論に基づく宇宙論を中心としている。だけれども、今回はひも理論の枠をも超えて、多宇宙を題材として様々な多宇宙を紹介する作品。
ちなみに、少し前に出た、スティーヴン・ホーキングによる、「ホーキング、宇宙と人間を語る」でも、多宇宙についてのことが書かれていて、我々の今の存在は超多様な可能性の中の一つに過ぎないというような記述があって、ちょいと開眼した記憶がある。
いずれにせよ、現在の物理の大きな理解として多宇宙があるのは間違いないということなのだろう。


どこまでも

もともと、人は宇宙を理解するにつれて、自らが特別な存在ではないと言うことを理解して言っている。天動説が否定されて、太陽系も銀河の中心ではなく、それどころか宇宙には中心すら存在しない。そして、ついには、この宇宙は唯一の存在ではないどころか、超多様な可能性の一つでしかないというところにたどり着いてしまったと。その超多様な可能性の様々なについてがこの書籍で紹介されていて、脳が混乱しそうになるような概念と共に、その多宇宙のさまざまを堪能出来る。


存在とは

この広大で膨張を続けるこの宇宙には、光すら届かないさらに向こうがあって、そのさらに向こう側にある広大な世界では何が起きているのか?宇宙の始まり、ビッグバンの、さらにその前にインフレーション宇宙のさらにその前は一体何があったのか?素粒子よりも小さい世界までたどり着こうとしたときに、そこにあるパラレルワールドをどのように理解すべきなのか?ブラックホールの向こう側に存在するものとは?そもそも、我々の存在は例えばコンピューターの中で起こっている仮想に過ぎないという可能性も捨てきれないのではないか?
そう、追いかけても追いかけてもたどり着くことの出来ない存在の基本は、その不確定性に至にいたって、むしろ、ただ圧倒的に多様な可能性が想像される状況に追い込まれていく。存在とは、そのように、決定不能なものであり、だけれども、認識のよって存在が存在になっているのだと。


可能性の一つ

たしかに、可能性の一つに過ぎないとしたら、それはそうかもしれない。どこまで行っても理解しきることの出来ない存在がそこにあるということはつまり、ただ、ランダムな多様性の中でたまたまある程度の整合性を持つことの出来た空間に過ぎないと、この宇宙が。


わくわくする

そう、圧倒的な可能性があると、物理を深く探究した結果、賛否両論はあり確定した物理理解ではないのかもしれないが、結局そのように理解するしかないかもしれないと言うことが、実に面白いそれである。
そして、そうやって思うと、例えば、たまたまうまくいかないことなどは、この多様な宇宙の中の可能性の一つにしか過ぎず、どこか別の宇宙では、もっと楽しんでいる私がいるかもしれないと思うと、この現実の理不尽をなげくよりも、この現実を生き抜くことの楽しさを見いだすことの方が重要なようにも感じてくる。
そして、なによりも、この圧倒的に多様かもしれない宇宙という宇宙像は、あまりにもわくわくするものでもある。


ということで

ということで、結構物理的に難解なところも所々ありますが、わかりやすく解説することに定評のある著者の作品なので、物理に詳しくなくても楽しめると思います。
ちなみに、ブライアン・グリーンがTEDで行ったプレゼンが転がってましたので、参考にこちらです。

関連リンク:
ブライアン・グリーン - Wikipedia
ブライアン・グリーンが語るひも理論 | Video on TED.com
関連サーチ:
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隠れていた宇宙 (上)
発売元 : 早川書房
発売日 : 2011-07-22 (単行本)
売上ランク : 9179 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 1,995 在庫あり。
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