月に囚われた男は、低予算SFな秀作です



ダンカン・ジョーンズ

デヴィッド・ボウイの息子であるダンカン・ジョーンズ監督の初監督映画、「月に囚われた男」を見てみた。恵比寿ガーデンシネマにて。


低予算SF

物語の舞台は月面。月にある資源を採掘して地球に送る企業に雇われた一人の男が、ロボットとともに月面でたった一人で作業に当たっている。3年契約。地球に戻ることを夢見つつ、日々仕事をこなす。
そんな物語なので、出演者は少ない。さらに月面が舞台と言うこともあり、SF的なCGや凝ったセットを想像するのだろうけれども、これが、むしろ結構味わいのあるセットで、たぶんCGはほとんど使われていないと思う。このあたり、低予算映画であるが所以もあるのだろうけれども、逆にこれが味わい深くていい。特にロボットが、画面に映されたニコニコマークで感情を示しているところなど、センス抜群。


事件

このあたりから若干ネタバレになっていきます。
そんな男の身に事件が起きる。自分と同じような男がもう一人登場する。彼は、一体何者なのか。そして、つまり、自分自身は一体何者なのか。そこから、この男がこの月面でただ一人で作業しているという不思議な状況のその理由が明らかになる。


あれっ

途中からそのあたりのしかけが分かる様になるのだけれども、私自身が映画をちゃんと記憶しきっていないのかもしれないが、若干矛盾しているシーンがあったような気がするのだけれども、気のせいだろうか?
その他、冷静に見れば、ところどころストーリー転換に無理があるようなそんなところも所々あったような気がする。


しかし

しかし、そんなことはこの映画にとっては枝葉末節なことで、結構いい映画です。そこに用意された仕掛け。人々のしあわせと個人のしあわせの狭間。それと共に何処までが個人なのかというところ。感情が持った生命体である時点で、我々は共感からは抜け出せない。つまりは、共感が何かの基準になるのか?


いい映画です

というところで、SFという意味では、派手なアクションとしてのSFではなくて、仮定による状況設定の元での事件をスリリングに、そして、問題提議的に描くという本来的なSFの意味合いでは、古典的ともいえるまさにお手本的な作品でもあると思う。
もう少しな気がするところもあるけれども、しかし、いい映画ですし、普通に楽しむことも出来ます。
個人的には、今年は、映画がかなり不作なのだけれども、そんななか、この作品はおすすめです。




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