ちょっとした話題になっている映画、「シルビアのいる街で」を見た



ホセ・ルイス・ゲリン

現在、イメージフォーラムで上映している映画、「シルビアのいる街で」を見てきた。この映画、ホセ・ルイス・ゲリン監督の映画で、結構地味に話題になっている映画で、私は、たまたま平日に見に行くことができて、混雑っぷりなど問題ないだろうと思っていたら、かなりの混み合いぶりでした。





内容

この映画、あまりにも独特です。ある街のホテルに泊まる男。街角のカフェで、スケッチをしながら、ガールウォッチングをしているような様子。この男性俳優が、こういった容姿ではなかったら、変態か相当な色男かに映るだろうけれども、微妙な薄さのイケメン男優で、その演技力もあって、何ともいえない雰囲気に感じる。カフェでは、多くの人が談笑したり、時にもめたり、静寂の中に小さな数々の事件が発生している。その様子を、眺め続ける男。
そして、その男がその客の中にシルビアを見つけて、その後を追いかけはじめる。街中をどこかへ向かう女性を追いかけ続ける男。時に、その行方を見失いながらも、なんとかついて行き続ける。まるで、ストーカーのような様子なのだけれども、ここもまた、この男優の容姿がそうは思わせない。ちなみに、この女優の方も、かなり適切な美女。配役の妙も感じさせる作品である。


何事も

しかし、何事も起こらない。上記のような様子だと、そのまま、運命的な再会だとか、もしくは、それとは正反対の展開だとかが、考えられそうなのだけれども、そうはならない。そこは、ただ、シルビアのいる街であるだけ。いや、正確に言えば、シルビアがいるはずの街でなのかもしれないけれども。


主体は街でもある

そう、この作品は、確かに、ある意味そのタイトル通りで、街が主役なのかもしれない。冒頭のホテルの前の通りの様子をずっと映し続けるところに始まり、この男性がカフェでくつろぎながら、眺めるほかのカフェのお客の様子の描写、さらに、シルビアを追いかけていく課程でさまよい続ける街。
その描写は常に、主人公のみを追いかけるのではなくて、時に、主人公から離れて、街の通りだけを描写する。そして、そこに街の喧騒が遠慮なく入り込んでくる。そこにある街とその街の活動を大いに感じる映画でもある。


すばらしい

この映画、ある意味では、ちょっとおしゃれに描いた「ゴドーを待ちながら」のようにも感じる。何かが起こりそうで、結局何も起こらない。だけれども、そこにはその前にも後にも、場が存在し続けていると。
これ、本当におもしろい映画だと思う。街という場。街に感じるのは、それは、街そのものなのか、街にある場所なのか、それとも、街にいる誰かなのか。街は、時に、他者を排除するかのように、日常が止めどなく流れ続けている。一人スケッチする男は、それは、孤独なのか。街は、様々な記憶とともにあって、そこにいるある人がすてきな思い出を残してくれてもいる。彼は、何故にシルビアを求めていたのか。
街には、様々なものが集積していて、それは、まさしく現実そのものでもあるのだろう。


刺激する
何も強く語らない映画であるだけに、様々なことを頭の中に思い描くことのできる映画でもある。ちょっとした脳の活性化にいい映画だと思います。


関連リンク:
映画『シルビアのいる街で』公式サイト
イメージフォーラム・ダゲレオ出版/シアター・イメージフォーラム
関連サーチ:
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