原美術館にて、ヤン・フードン



ヤン・フードン

中国の映像系芸術家のヤン・フードンの日本における初の個展が、原美術館にて開催中で3月28日までということで、早速いってみた。美術展タイトルは、将軍的微笑。


映像

私は、この人は名前すら初めて聞く人で、作品を見るのは、恐らくこれが初めて。ということで、何の前情報も無いままに、いったのですが、これが、ちょっと残念ながらで、展示は映像多数なので、見るのにとても時間がかかる。なのに、夕方頃に行ってしまったので、じっくりと鑑賞しきる時間が無かったという次第で残念でした。もし、じっくりと鑑賞されたい方は、時間に余裕を持っていくことをお薦めします。


中国

作品は、完全な映像作品と、映像を使ったインスタレーション。特に、中心的な作品は、将軍の微笑。いかにもな長机の食卓に映し出される豪勢な食事の様子の周りに、小さなモニタでいくつも映し出されている若き人々の様子。そして、食卓の片側の短辺に映し出される映像で、過去や現在の様子を語る老人(将軍?)。などなど、複数のモニタに映し出される映像で構成された一部屋をまるまる使ったインスタレーション
老人の語り口は、過去を振り返りながら、現代の恵まれた様子を語る。テーブルの上に掲げられている小さなモニタにそれぞれ映るのは、若き人々のはつらつとした様子。それは、中国の現代の発展を過去を参照しながら象徴しているようでもある。


古さ

そう、全体的に私が感じたのは、それは中国というもの。そして、その伝統的な側面と前進し続けている現代の対比としてのそれ。しかも、この人の作品の面白いのは、過去に対しても、現代に対しても、プロパガンダが全く介在していなくて、一方で、批判的な側面も全くないところ。それぞれの様子を淡々と冷静に眺めているという印象が残る。
なので、強烈なインパクトはないのだけれども、地味に深々と感慨が湧いてくる。そして、そこには中国一国の特性のみではなくて、徐々に変化しながら生きながらえていく個人の変化の様子が映し出されているようでもあるというのか、なんとも郷愁的というか意外にも、そっと琴線にふれられるという感触が残る不思議な作品群。


眺めるだけでも

そう、先述のとおり、映像作品はいずれの作品も完全には見切ることは出来なくて、ちょっと残念な気もしたのだけれども、全てを見切らなくても、そこにある上記のような感覚は不思議と味わえるというのが面白い作品。ある意味では、じっくり眺めなくても、そして、そこに表現されている起承転結が理解出来なくても、感じることは十分にできるような作品に感じた。


じんわり

というところ、そう、じんわりとくる作品であったというのが印象。こういった奇を衒った作品ではないものを構築して感じさせるというのは、なかなかすばらしいと思う。なんというのか、全く違うのだけれども、感触だけでいうとアキ・カウリスマキ監督の映画とかの感触に近いものを感じた。




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