独裁についての教育が引き起こした事件について描いた映画 The Wave



The Wave

実際に起こった事件を題材にした映画、The Wave をみた、新宿にて。


独裁について

ある高校が舞台なのだけれども、ここで行われたある授業がやがて、大きな事件へと発展してしまうという一連の出来事を描いた映画。
その授業とは、独裁についての実習。ある教師が、生徒へ独裁についての実習を行うところから始まる。そして、その授業は少しずつエスカレートする。それは、規律のない生徒によってなのか、それとも、教師自身の劣等感によってなのか。


規律

そして、教室は模擬独裁場となる。
教室の机の並びは、教壇に対して整然と整列している。生徒は、手を挙げて、教師に指名されたら立ち上がって、発言する。授業の始まりは、教師へ挨拶する。制服を着る。
とここまでだけの表現を捉えると、日本の学校ではごく当たり前の光景ではあるものの、というところが、日本人には、ちょっと違和感。まぁ、私の経験からなので、今はどうなっているのか知らないけれど。日本は、独裁なのか?


グループ

しかし、それがエスカレートする。それは、その規律の厳しさや、教師による何かの強要ではない。それ以上にその授業を受ける生徒達が、やげて、一体感を持ち始める。そして、グループとしての名前をつける、それが、The Wave。そして、ロゴをつくり、そして、敬礼をつくり、チームが巨大化する。そして、一部の人はのめり込みすぎて、そして、一部の人は、それに反感を感じ始める。


破綻

そして、それが破綻を迎える。講堂に集められた The Wave のメンバー。そこで、最後に待ち受ける事件は。


いまいち

事実に基づいた物語らしいが、これが、何処まで事実に忠実でどこまでが脚色なのかは不明。ただ言えるのは、事件そのものは興味深いのだけれども、映画としては、それほどではない。
描き方がへたくそすぎるし、いいたいことが最初から固定してしまっている。社会の問題を浮き彫りにするようなニュートラルなところから描くことが出来ていない。多くの物事が短絡的に描かれすぎている。一方で、それぞれのことに根拠付けが無い。


例えば

規律が作られる。その規律に、例えば、悪があるのだろうか?そして、グループ意識が芽生える。そこに悪があるのだろうか。そして、それが何故、生徒の暴力行為と繋がるのか。全くもって、分からない。そして、のめり込む人々の背景には、家庭の不和を持ち込む。そこに責任を押しつけるだけで、何が生まれるのか。


一体感とは

確かに、一体感には充実が存在しがちである。一方で、他者から見ると心地いいものではない。一体感は、排他的である。だから、私自身も一体感は好きではない。一方で、しかし、社会的存在である人間は、一体感なしでは生きる事は出来ない。例え、自立を意識したところで、無政府主義者と行ってみたところで、必然的に国家に所属し、そして、国家の影響を受ける。逃れることは出来ない。そして、規律もまた必要である。特に、自由を強調すればするほど規律は必要になる。社会契約説について、もっと考えておくべきだ。
そのあたりに潜む人間存在の矛盾は全く描かれてはいない。これだけを見ると、規律はダメ、一体感はダメ、それだけしか残らない。ヒトラーの過去に縛られるドイツならではなのかもしれないが、普遍的な価値のある映画とは到底言えない。




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