不思議に見た数学の世界 メタマス



メタマス

メタマスという数学にまつわる本を今回は紹介。作者は、数学者のグレゴリー・チャイティンで、副題がオメガをめぐる数学の冒険。
停止確率オメガを話題の中心に添えて、数学における非常に難解な問題である、不完全性定理だとか、チューリングテストなどの数学的に不可能な事についての考察。さらにその議論を通して、数学の歴史を語るという内容。
ただ、数学というよりは、タイトル通り、メタ数学であって、数学が数学としてどのような物なのかについての議論。


連続性

確かに、数学というのは不思議。特に、まずは興味深かったのが、本題ではないけれど、連続の概念。確かに、簡単にアナログ、デジタルというけれど、本当に連続とはどういったことかって。離散化した物を無限大にとばして連続を表現するけれど、その無限大とは何だろうか、もしくは、逆にゼロとはなんだろうかと。ここからは、私の想像なので数学的に正しいかどうか怪しいけれど、たとえば、複雑性の議論であれば、どこまで拡大しても、同じ形状が現れるというのがある。そして、どこまでもどこまでも同じだから永遠に長さをもつ境界線が存在する事になる。だとか、離散化して無限にとばしたところで、いつかは物質の最小形状の問題にたどり着く。すると、不確定性の問題も出てきたりして、やっぱり、無限大・もしくはゼロにはたどり着けない、ような気もする。といったところで、当たり前の概念として習ってきた学校レベルの数学が、あまりにも多くの前提の上に成り立っているというのを再認識できる内容。きっと、その前提上も数学だし、その前提のところ追求するのも数学で、だけれども、後者はメタ数学に近づいていくということなのだろう。


ランダム性

もう一つ、面白かった議論は、ランダムとは何か。我々は簡単にランダム数って言うけれど、確かに、ラムダムとは何かってのはわからない。というか、ランダムが定義できてしまうと、ランダムでは無い事になってしまうのかもしれないし。で、そこに圧縮可能性という概念が説明に使われているのだけれども、これがとても、納得のいく説明。圧縮できる物はつまり法則があるという事で、ランダムではないと。
さらに、この圧縮という概念は確かに面白くて、例えば、DNAもある種の圧縮だし、数学定理も圧縮結果、プログラムも圧縮の結果といえる。要するに、現象を結果とメソッドに分解氏邸、メソッドのところを保存するというのが圧縮と行っていいのだと思うけれど、この圧縮力って、後に記述する天才に繋がるのだと思う。ある意味では、勝ち抜くためにはこの圧縮力が重要のようにも思う、量産とは圧縮でもある。


不可能性

で、ちょっとそれたけれども、内容。停止確率オメガを通して、ゲーデル不完全性定理だとか、チューリングの停止問題を議論している。やはり面白いのは、どこか理論的には破綻の無いもののようなイメージを抱いてしまっている数学が、しかし、数学的に表現しきれない限界があるというところ、そして、それに対して、非常に不思議な証明を施していくところが面白い。
ただ、内容的にはかなり、わかりにくいのと、著者の自分アピール度が激しいところが気になる。誰か編集者がいて、内容をもう少しうまくまとめてもらった方が読みやすい気がする。


天才

あとは、この本の作者の意見だからそのままのみこむべきではないのだけれども、過去の偉大な天才についての意見も面白い。特にライプニッツについて。数学者としても優れていながら、哲学者でもあるライプニッツ。その天才ぶりについて熱く語る作者のおかげで、何となくしか知らなかったライプニッツにとても興味が出てきた。あとは、ニュートンについての話しも面白い。
しかし、思うのは、天才は何をやっても天才というか、たいてい、数学に優れた人は、哲学的にも優れているだとか、天才ってマルチなところがあるような気がする。きっと数多くの情報のなかから本来的なところを見つけ出す事に優れた能力があるという事なのだと思う、天才という存在は。

関連リンク:
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.人物史比較.メタマスな人々
dLINKbRING.Literature.チャールズ・サイフェ.異端の数ゼロ
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.ゲーデルの不完全性定理
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.コルモゴロフ複雑性
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.チューリングマシンの停止問題
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.ヒルベルト・プログラム
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メタマス!―オメガをめぐる数学の冒険
発売元 : 白揚社
発売日 : 2007-09 (単行本)
売上ランク : 59243 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 2,940 通常24時間以内に発送
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段々と分かりやすくなっていくようだ
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