すごい映像となぞ　ピアノチューナー・オブ・アースクエイク

ブラザーズ・クエイ

双子の兄弟ブラザーズ・クエイ総指揮、テリー・ギリアム監督の作品、”ピアノチューナー・オブ・アースクエイク”を見た。イメージフォーラムにて。

すごい映像

内容は、はっきりいって、説明不能というかそもそも理解不能。常軌を逸した博士とその患者たち。その博士が魅了された歌姫。そして、ピアノの調律師。自動人形。そして、最後のオペラへ。

嘆美と退廃

まったくもって、よくわからないのだけれども、多分、これはストーリーを語る物と言うよりも、狂気と嘆美と退廃を映像化によって表現したと捉えるしかないのだと思う。全編紗のかかったような映像。美しき女性。ヤン・シュバンクマイエルを想起させる人形と機械仕掛け。意味不明の言葉が並べられて、抽象的に圧力をかける。
なんとも言えない恐怖が狂気によって提示されて。ただ、彷徨い続けるピアノ調律師。愛だとかそんな次元ではない欲求。
確かに、こんな映像は見たことが無いと思うほどの幻想的で美しい映像がそこにはあって、その中で、蠢く人々と人形は、不気味さだけに支配されている。

なので

なので、この作品は、普通の人が見ても（って見ないだろうけど）、しょうがないと思う。ブラザーズ・クエイがヤン・シュバンクマイエルの影響を受けているというように、ヤン・シュバンクマイエルが好きだとか、あとは、タクシデルミアあたりが興味深いと感じたような、そんなタイプの人じゃないと楽しめない作品だと思う。いや、楽しむというか、この狂気的な世界を味わいというべきかもしれないけれども。