百年の孤独:ガブリエル ガルシア=マルケス



1.再読
マジックリアリズムの代表的な作家である、ガルシア・マルケスの作品が最近次々と再刊行されています。そんなガルシア・マルケスの最も有名な作品"百年の孤独"をこの再刊行を機に再読してみた。


2.10年ぶり
まともに読むのは、たぶん10年ぶりくらい。当時刊行のものは、最近の刊行ものとはまず、翻訳が違っていたのとあと、家系図がついていなかったという差がある。今回はついでだから再刊行のものを買って読んだけれど、翻訳の差がわかるほどは前回読んだ記憶は残っていないので、差は不明。だけれど、家系図付きはかなり読みやすい。10年ぐらい前に読んだときは、途中で訳がわからなくなったため、自分で家系図をつくって、それで読んだ、多分当時はそうしていた人が多いのだと思う、わざわざ家系図が載るようになったという事は。


3.100年
物語は、ホセ・アルカディオとウルスラ夫妻から始まり、その子孫達の様子が描かれていく。最後は7代目まで続く事になる。
3.1概略
舞台はおそらく中南米で、架空の街マコンド。その村を拓いた夫妻。そして。その子孫達の壮絶な運命が、まさにマジックリアリズムという、誇張された描写によって描かれていく。
3.2幸福論
細かいところは、ここでは省くけれど、全体を総括すると、幸福論、といえるのではないかという気がしてきた。それぞれが、それぞれに個性的でそしてどこか困難な生活を送る。それは、血による繰り返しの歴史のようでもあるけれど、それはそれとして根底に流れているとはいえ、それ以上にそれぞれの個性的な人生として捉えた方がより制約のない捉え方が出来る気がする。
3.3様々な人生
政府との戦い、資本との戦い、規則正しい生活、愛、不倫、発明、銀細工、情欲、事業、文献、暗殺。それぞれが、何かに没頭し、そして、ある種の成功を収め、ある種の悲劇に陥る。
3.4幸福
どの人生が正解であるわけでもないだろう、一族の誰の生活が幸福であったのかも不明だし、一族の全てが不幸だったのかもしれない、歴史は記憶からも記憶からも一族の存在は不明確になり、社会に対して歴史としての一族の存在は消えていき。だけれども、それが人生かもしれないとも思ってみる。そう、この一族のだれの人生が幸福だったのだろうか。そして、一族のそれぞれはそれぞれの個性的な人生を生きただけでもある。
3.5最後


「この百年、愛によって生を授かったものはこれが初めて」
この記述によって、7代目が登場し、そして去っていく。二つの家系が混成された最後のもの。これだけ長寿を誇った一族のなかでの短命。
幸福とは、愛とは、人生とは。


4.深刻にはならず
特に、深刻な気分になる事はないのだろう。あまりにも豊饒なイメージとはうらはらに、どこかに空虚さを含みながら、だけれども、そういった人生が、人生なのだと、そんな気がしてくる。そう、だから一族の栄枯盛衰というような単純な物語ではない。


5.20世紀を代表する
それにしても、ガルシア・マルケスの描写はとても面白い。川の流れのように、様々な流れがメインストーリーに流れ込んできて、そして、また分かれていき、様々なところからそれぞれが繋がって、そして、流れていく。そして、読者を圧倒するイメージだけれども、人間を描く部分のリアリティは欠如せず、むしろより明確に浮き上がってくる。改めてこの作品は20世紀を代表する名作である事を確信する。


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Gabriel Garcia Marquez: Macondo - Author Homepage
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百年の孤独
発売元 : 新潮社
発売日 : 2006-12 (単行本)
売上ランク : 4011 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 2,940 通常24時間以内に発送
評価平均 : /5人
すばらしい
愛について
アゲイン、そしてまた
世界文学史に残る傑作です。
華麗じゃないダイナスティです
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