迷宮の将軍は、シモン・ボリバル



ガルシア・マルケス

さて、まもなく日本でも公開される映画”コレラの時代の愛”の原作者、ガルシア・マルケスの"迷宮の将軍"を読んでみた。


歴史物

激しくフィクション度の高い作品を各作家である一方で、ジャーナリスト出身ということもあってか、ノンフィクション作品もいくつか発表しているのが、ガルシア・マルケス。そのガルシア・マルケスのノンフィクション作品の一つが、この”迷宮の将軍”。南米の英雄、シモン・ボリバルシモン・ボリバルについては、以下のリンクも参照ください。)の晩年を描いた作品。膨大な資料と格闘の末に書き上げられたということなので、比較的忠実に作品化しているのだと思う。


読み物的

個人的な感想で言うと、ガルシア・マルケスの他の作品に比べると、ちょっとインパクトは弱いかなと言うところ。ただ、一方で強く感じるのは、英雄を英雄然として描くわけでもなければ、恣意的に一般人的に描くわけでもなく、ただ、ある特殊な個性を持った人として描いているという印象がして、そこがとてもいいところだと思う。特に、その晩年を描くと言うところがいかにも、ガルシア・マルケスの視点という気もする。
そのように、インパクトが強くはない作品なので、どこか読み物的な印象もあって、強く心に残るという感じはなかった。この辺は、私自身が、歴史が好きではないと言うことも影響しているのかもしれないけれども。


いかにも

ただ、いかにもガルシア・マルケスというところは、ノンフィクション作品であっても、随所にあって、一つは時代の前後が激しいというところ。全体の流れは、国を出ようとする将軍の死に至るまでを時間の流れと共に描いているのだけれども、随所に過去の物語がいかにも、自然に入り込んでくる。この辺の構成は、いかにもガルシア・マルケスだし、読んでいて面白さを感じることが出来る部分でもある。


どちらかというと

ただ、どちらかというと、ガルシア・マルケスを初めて読む人には、あまりお勧めできなくて、他の作品も結構読んでしまったと言う人向けだと思う。もしくは、歴史的な読み物が好きな人向けと言うべきかもしれない。

関連リンク:
dLINKbRING.Literature.ガブリエル・ガルシア=マルケス
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.シモン・ボリバル
関連サーチ:
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迷宮の将軍
発売元 : 新潮社
発売日 : 2007-10 (単行本)
売上ランク : 123361 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 2,730 通常24時間以内に発送
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主人公への共感が齎した魅力の目減り
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