淡々としすぎです、コロッサルユース

ペドロ・コスタ

知る人は知っているポルトガルの映画監督、ペドロ・コスタ監督の最新作、コロッサルユースを見た。渋谷のイメージフォーラムにて。

淡々と

約3時間に渡り、淡々とした時間が流れていく。妻に家を出られた男が、妻が帰ってきてくれれば・・・と手紙の文句をつぶやきながら、仕事場と家と娘の家などなどをうろうろとする。
妻が出て行ったことが唯一の事件で、その後は、何も起こらないと言っていい。そして、何にも繋がりそうになり日常のあるいみ、どうでもいいようなことが、時に長い会話として、時に、ちょっとした映像として、次々につながれていく。ロイ・アンダーソン監督は苦笑と皮肉の中に淡々とした日常を持って行くのだけれども、ペドロ・コスタ監督は、ひたすらに何も発生しない独特の暗さと寂しさの中に、淡々とした日常を描く。だけれども、そこには思うほどの悲壮感は無いような気もする。生きると言うことは、まぁ、そんなものだよと、別に諦めというわけでもなく、ただ現実認識として、描いているようにも思えてくる。