ロジャー ペンローズ、竹内薫、茂木健一郎:ペンローズの“量子脳”理論―心と意識の科学的基礎をもとめて



1.量子脳
現代物理学界きっての天才、奇才ロジャー・ペンローズによる量子脳理論を、竹内薫、そして、クオリアで一気に一般にも知られるようになった茂木健一郎が解説した科学本がこの”ペンローズの“量子脳”理論―心と意識の科学的基礎をもとめて”。


2.難しい
内容は厳密な部分まで理解しようとすると相当に難解で、私の物理学知識レベルでは何を論じているのかさえほとんど不明であったりする。ただし、ロジャー・ペンローズの著書をもろにそのまま読む事に比べれば、解説がかなり役に立って、少なくともその概念は読み取れる。


3.脳と量子
意識の説明に量子力学的現象を用いるというのが(かなりはしょった適当な説明です・・・)ロジャー・ペンローズの独自の”量子脳”理論で、これが、生物学界、人工知能界、物理界、などなどに多大なる物議を醸したらしい。正直言って、私の知識レベルでは、この理論がどの程度すごいのか、もしくは、理にかなっているのか否か、全くもって判断できないので、手放しですごい理論だとはいえないのが悲しいところ。
チューリングテストだとか、ゲーデルの不確定性理論だとか、本当は高度な数学的話しなのだけれども、とても抽象的な理論展開を基に、この説の論拠がいろいろと書かれている。何となく、それっぽいかもとも思うけれど、やはり難しすぎる。だけれども、これほどにしっかりとした理論をベースにした議論であるので、少なくとも全くもって論外な理論ではなくて、理に叶った見解である可能性も高いのだろうとは思う。


4.何故量子か
量子的な振る舞いには、ランダムな振る舞いが含まれる(ランダムとは一体何かというところの議論はここではせず、曖昧にごまかしておく)。意識の生成にもそのようなランダムな振る舞いが間に挟まれる。つまり、計算不可能な出来事として、意識が定義されるが、しかし、現象は発生する。だから、量子論でしか意識は説明できない。
意識はそのような過程を通過することで、予想を超えたものを見つけ出す事が出来る。


5.なんとなく
なんとなく、これは、確かに感覚的に納得できる。少しこの量子脳からは離れるけれど、ペンローズの基本的な考えの一つに、ペンローズの三角形というのがあって、”物理的世界”と”心の世界”と”プラトン的世界”がお互いに循環参照的に依存しあっている、というもの。この概念がとても概念としてすばらしく感じられるというところが、何となく、ペンローズの観点がある種の正しさがあるだろうと感じさせるところ。何故かというと、これは私の勝手な考えだけれど、どうあっても人の存在は自己参照を否定できない、ように思えるというところが根本。何がどう、自己参照性とペンローズの三角形が関連するのかといわれるとこれまた、説明困難なのだけれど、存在という形態は、認識を通して行われる事で、認識していないと存在が確認できないし、存在していないと認識することが出来ないと、つまり、存在は自己参照だと、そして、存在が存在だけじゃなくて、時間を必要とするという点も、結局時間によってはじめて存在が認識に変換されるのだと思う。で、この若干哲学的話題を物理学的な説明に織り込もうとすると、相対性理論によってそれぞれが時間をもった存在で、そして、・・・・・・・。こういった概念を無理矢理物理につなげようとすると、エセ科学的かつエセ哲学的になりそうなので、この辺で止めておこうと思います。


6.世の中
世の中には、すばらしく自由にものを考えるとてつもない人がいるものだと、純粋にそう感じた、この本を読んで。そして、本屋に行くといつも思う、世の中には本当にすごい人が多くいるものだと、様々な分野で。そして、本屋中毒になって、入り浸りたくなってしまう。


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ペンローズの“量子脳”理論―心と意識の科学的基礎をもとめて
発売元 : 筑摩書房
発売日 : 2006-09 (文庫)
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