アフガン前線の現実を描く映画「アルマジロ」



アルマジロ

現在新宿の K's Cinema で上映されているドキュメンタリー映画アルマジロ」を見てきた。
この映画は、アフガンの前線基地「アルマジロ」へ派兵された若いデンマークの軍人の出征から帰還までを描いたドキュメンタリー作品。





真実

それは正に戦地である。映像が美しいためにそれがノンフィクションであると言うことを忘れてしまうのだけれども、最終的には銃撃戦も出てこれば、死者や負傷者も出てくる。描き方そのものもまた、真実に徹している。


そのまま

そのままを描いていると言っていいのだろう。旅立ちのシーンから。家族との別れ、そして、戦地へ向かう若者の目的とは?旅立ち前のストリップパーティー。戦地からの電話。死者や負傷者にまつわる生々しい話し。
やがて、戦地へ立った若者が現実の戦争を実感し始めることに呼応するかのように、描かれる現実も生々しさを帯びてくる。


憎しみ

やがて、その敵に憎しみを覚える言葉が吐き出される。戦地にいて、死の危険を感じながら、攻撃してくる相手のことを考えると、そのような言葉が出ることも、当然なのだろう。そこに、理性を過剰に求めるほうがおかしいのは確かにそうだ。そして、逆に、現地人からは憎しみの言葉を浴びせられもする。最早、信頼関係の崩れてしまった地において、その後、平穏はどのように構築されるのだろうかと、そんなこともよぎってしまう戦地の現実。


戦い

一方で、戦いを恐れ、一方でただのパトロールを退屈だと感じ、戦を求める感情。
そして、その戦闘が勃発する。敵を間近にした戦い。カメラも銃弾をかいくぐるために画面が乱れる。興奮した生々しい声がとどろく中、敵を殺害することに成功する。


興奮

そして、戦士たちは興奮を覚える。確かに、この瞬間に、もはや対人間という感覚は失われて当然だろう。人を殺したことにむしろ興奮を覚えるという感情。日常しかない日本からは想像することは不可能とも感じられる感情。それが戦地というところなのだろう。よもやスポーツであってさえも、憎しみや歓喜を感じるのであるのだから、死を間近にした戦いに当ては、生存本能がむき出しになり、感情が高揚するのも当たり前だろう。


帰還

そして、帰還の時を迎える。それが、すばらしい体験だったと思うという声。そして、期間後もしばらくして再びその戦地へと戻っていった戦士もいる。この現実。


身にしみる

この感覚は身にしみる。現実に対して、私には持ち得なかった視点がこの映画にはある。持ち得なかった視点を与えてくれると言うことにおいても、このドキュメンタリー映画を見て、非常似よかったと思う。
しかし、この映画を見終わってもなお、この戦士たちの感情には、全く近づけていないのだろうとも思う。この戦争。アフガニスタンにおいて、誰のために戦っているのかもわからない地での戦いに、どのような感情を抱き得るのだろうか。


悩ましさ

正義を語ってしまうことほど容易なことはない。それが正義だと、それで片付けてしまうことほど容易なことではない。しかし、現実に近づけば近づくほど、正義という言葉は力を失う。
このドキュメンタリー映画においても、正義という言葉は全く通用しない世界が描かれている。これが、現実なのだと、そういうことなのだろう。


関連リンク:
映画『アルマジロ』公式サイト
新宿 映画館 | ケイズシネマ
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