未来の食卓をみて、いろいろと思う



食事問題

さて、近頃、いろいろなところで食の現実に関する話題を耳に目にすることは頻繁になってきたのだけれども、この映画も、そんな現代の食生活に対する問題提議のする作品で、「未来の食卓」。ドキュメンタリー映画


オーガニック

会議の様子、ガンなどの病気の事例の増加から、その要因としての食事の問題、特に、農薬の影響によるガンの増加に対する指摘の様子から始まる。そこから、給食にオーガニック食品を導入した村の話へと展開しながら、農薬が引き起こす数々の問題として、散布する農家自身への影響ややせていく農地への指摘、そして、食品に含まれる残留農薬の影響まで。
で、ここで、こういったことから単純にオーガニック食品がいいですということで終わっていたら、これは残念な映画になるところなのだけれども、そうではなくて、そこから、オーガニックを農家として選択したときの経営的、つまり、現実問題に対する言及があって、さらに、全世界をオーガニック食品によって養うことが可能であるという一つの研究報告にまで言及していて、このあたりはさすがな展開。その何処までがより現実で、何処までが理想論であるのかというところは、依然として明確ではないけれども、少なくともそこまで言及しているあたりに、この映画の真摯さを感じる。


マス・農業

近頃の私のお気に入りのBS世界のドキュメンタリーでも少し前に、この食品の現状に対する指摘があったのだけれども、マス・農業というか、近年の工業化された農業とそれに伴う安い食品には、多くの問題が潜んでいることが、指摘されていた。それは、農業だけではなく、畜産業などにも及んでいて、土地自体の環境破壊や、家畜や農作物の不健康な状況と、そしてそれを食することの危険性や不十分な栄養状態など。
この映画が指摘している内容もまた、似たようなことでもあり、つまりは、工業化された農業の問題ともとれる。


現実は

しかし、そう、現実がそこにある。安い物を求めてしまう消費行動。そして、科学によって我々は現在の爆発的な反映を得ている以上、科学を完全否定しまって、この生活が成り立つのかということ、極端に言えば、旧石器時代には戻れないでしょうと、自然農法だけで本当に成り立ち得るのか、例えば、突然の害虫の大発生や天候不順に対して。また、マス・農業ではなくして、本当にまさに経営的に成り立つのだろうかというところ。それは、前述の通り、映画の中でもふれられているけれども、やはり、残存する問題だと思う。我々は、そういう場所に来てしまったとそういうしかないようにも思う。


さらに

さらに、オーガニックを選ぶべきというところに対して、食品偽装をはじめとする問題もまたある。これは性悪説すぎるのかもしれないが、しかし、若干ことなる例だけれども、これもBSドキュメンタリーねただが、フェアトレードの認証マークにしても、ブランドとして使われている一方で、実際には、フェアトレードを正確に評価していなくて、本来フェアトレードの結果として利益を得るべき人々には、利益は流れ込まず新たな搾取構造になっているとい現実もあるという指摘もある。また、オーガニックだからといって、栄養価が高いわけでもない(勿論農薬にたいしては利点はあるだろうが)という説もある。現実は複雑すぎて、一つの情報元からでは正しい判断は出来ないのが現実でもある。


困難である物の

私が感じたのは、ちょっと逃げ口上的だが、個人だけでは替えることは出来ない現実だということ、ここで指摘している食品の問題は。大きく産業構造が変わらなければ、たとえば昨今のエコカーを取り巻く状況のように、この食の問題には変化は訪れないだろうと。たとえば、農業への補助金は、工業化農業・畜産業へと流れ込んでいるし、日本の農業に対する政策として現在よく言われているのは、小規模農家支援ではなくて、むしろ、農業の工業化、株式会社化、つまり、マス化ではないかと。このことが意味することは一体どういう事なのかを考えて、かつ、それを打ち倒さなければ、オーガニック食品が市場を大きく占めるという状況には行かないだろう。
そこには、しかし、個人の努力による小さな波の集積というのも必要ではあろうが。


ぐるぐるまわり

そう、結局ぐるぐる回る。大企業化が引き起こす問題は多く指摘される。しかし、よっぽどのニッチではない限り、大企業による薄利多売が市場を独占する。そして、それは多くの犠牲と矛盾を起こし、その犠牲により、大企業が富を得るというのは、そして従業員はある限定的な富を得るというのは、ひどい言い方をすると弱肉強食の理でもある。逆にオーガニックでと主張するのは、金持ちの趣味ではないかと。
いや、しかし、変革は必要ではないのかと、寿命が短くなる方向へと転換しつつあると思われる現代社会においては。いや、考えるときりがないほどなかなか、悩ましい指摘である映画でした。




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