Marillion の新作は、そして、また、名作



Marillion

英国の誇るロックバンド Marillion。知る人ぞ知るというか、今や知る人しか知らないという状況かもしれないが、しかし、ファンは根強く、そして、彼らの存在もまた力強く、活動を続けているバンドでもある。その新作 "Sound That Cat't Be Made" がリリースされ、やっと手元に届いたので、聴き始めてみました。


新作

彼らの最近のスタイル通り、今回もまたプレオーダー形式で、プレオーダーだと豪華なボックス仕様に、多くの美しい写真を納めたブックレットが収められている。さらに、Making DVDもついてます。
そのタイトルは、"Sound That Cat't Be Made"。実に意味深なタイトルで、ジャケットも、音を象徴するかのような周波数と抽象的なオブジェクト。作ることの出来ない音楽としてリリースされた音楽は如何に。





驚き

Marillion はアルバム毎に音による表現力を深めて行っていて、前作などの傾向からだけでは予想の出来ないアルバムを作り上げてくる。
この新作でも、やはり、彼らは歩みを止めていなかったということがまずは、しっかりと感じ取ることが出来る。


GAZA

不思議な音響を持つこの曲から、アルバムが始まる。すでに、一般的なロックの曲構成から離れて独自の世界を作り上げている彼らだが、この曲で、さらに彼らはより自由な曲表現へと踏み出していることを知らされる。逆に予想を超えた世界であるが故に、最初はうまく入り込むことが出来ないほどのもので、ただのリズムやメロディーだけではない音世界が広がっている。
そして、この曲では、そう、そのタイトルを冷静に読めばわかるだろうが、ガザ地区のことが歌われている。ただ、これは政治的な意味が強い曲ではない。NGOなどの協力を得て、多くのパレスチナ人との会話の後に作られたという曲。Hogarth の印象深い声を含めた、Marillion の表現力の深さが、その憂いと希望を込めた歌詞によって深く表現されている。


展開

重く、深い世界から始まった曲は、そこから、どんどんと深く広く展開していく。2曲目はアルバムタイトル曲、" Sound That Can’t Be Made"。憂いを込めた味深い曲調から、リズムを聴かせたアップテンポな曲調を絡めながら、一筋縄ではいかない曲展開を持ちながらも、複雑さやテクニカルさを追い求めるのではない、むしろ表現の深さを求めているであろう彼らの表現は、難解すぎることはなく、聴けば聴くほど体に染み込んでくるようなそんな優しさに包まれている。


静寂さえも

それは、静寂のその空気感さえもがしっかりと曲に染み込んでいるようなそんな印象。そこに敢えて残された音空間が聴く側の感情を深めるための空間として残されていて、アップテンポな曲調では埋没感を感じさせてくれる一方で、そういった静かな曲調のところで、ふっと振り返りを持たせてくれるようなそんな印象の曲構成。


The Sky Above The Rain

そして、最後に待ち受けるのは、超絶なバラッド。Marillion が、Marillion である所以とでも言うべき曲 "The Sky Above The Rain"。
過去にも、多くの美しきバラッドを作り上げてきた彼ら。この歌詞にある雨を題材とした曲では、"One Fine Day"という美しき楽曲もあった。
そして、ここにまた最高のバラッドが彼らから届けられた "The Sky Above The Rain"。Hogarth の優しい声に包まれて、Rothery のギターが効果的に泣き、静かに支え続ける Trewavas と Mosely のリズム隊に、そして、印象的な Kelly の落とすシンセ音が響き渡る。
涙ものの名曲でこの最高傑作とも言うべきアルバムが幕を閉じる。


最高峰

私自身の思い入れはかつてから、この Marillion に対しては、他のバンドとは大きく異なるほどに深いのだけれども、このアルバムを聴いて、またさらに、このバンドのことが好きになった。
そして、出来れば、Marillion のアルバムをもっと多くの人に聞いてもらいたい。通常版であれば、Amazon なんかでも売っているので是非とも聞いてもらいたい。この穏やかで、しかし、心の中にある寂しさにそっと触れてそして包んでくれるような、一方で、楽しさを思いっきり広げてくれるような、憂いと喜びが詰め込まれた彼らのサウンドは人生をより楽しくさせてくれる。それは、彼らのが使っている一つの言葉ともリンクする "Find the Better Way of Life"。


プレオーダー

最初期にプレオーダーシステムでのアルバムリリースを始めたバンドの代表格である彼らであるが、今や多くのバンドが、プレオーダーにて通常盤とは異なるデラックスエディションをネットにて販売し始めている。
Marillion はこのシステムを採用することで、こうやってまた進化した姿を我々の前に見せてくれた。ファンとバンドのダイレクトな信頼関係がレコード会社の枠を壊して音楽を新たな次元へと導いている。
多くのバンドがこのような方法を手にして、音楽をもっと面白いものへと変化させていってくれることを願わずにはいられない。


最後に

最後に、この曲を書かずにはいられないので、引用しておきます。
"Tring to see the blue sky above the rain"


関連リンク:
marillion.com | The Official Marillion Website
関連サーチ:
Sounds That Can't Be Made(AMAZON.co.jp)
Sounds That Can't Be Made(Google)
Sounds That Can't Be Made(del.icio.us)
Sounds That Can't Be Made(Last.fm)
Sounds That Can't Be Made(YouTube)
Powered BY AmazoRogi

Sounds That Can't Be Made
発売元 : Eagle Records
発売日 : 2012-10-02 (1CD)
売上ランク : 24298 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 1,643 近日発売 予約可
Powered BY AmazoRogi Data as of 2012-09-23
See detail & latest visit AMAZON.co.jp