2011年に読んだ文学を自分のブログから振り返る
文学
本日は、映画に引き続きということで、2011年の文学を振り返ります。しかし、毎度のことながら、文学については、私がたまたま今年読んだというだけのものもありなので、タイムリーな情報とはいえない部分もありますがご了承ください。
11冊
2011年に読んだ文学作品およびそれに準じるエッセイなどは11冊。目標12冊に若干未達だけれども、実際には、今年のお正月に読み終わった作品があるので、12冊と言ってもいいかもしれない。となると、月1冊ペースでまずますかな。とはいえ、作品によって分量が様々で、読むのに数ヶ月かかったものもあれば、1週間レベルで読めたものもある。
ベスト
今年も、トマス・ピンチョンの作品の刊行が順次行われていることもあって、トマス・ピンチョンの作品をいくつか読んだ。その中で、やはり、圧倒的に感じたのは、「逆光」(ブログはこちら)。超長大な小説で、上下巻それぞれ800ページある作品。しかし、その中で、混乱と創造の20世紀へとまさに踏み出す瞬間を歴史的事実とフィクションを織り交ぜて描き上げた面白く示唆に富んだ作品でした。で、この「逆光」が昨年読んだベストとも言うべき作品かな。次点
次点とも言うべき作品は、エンリーケ・ビラ=マタスの「ポータブル文学小史」(ブログはこちら)。この作品でも、愛すべき孤独を愛するような変わり者芸術家を取り上げていて、その彼の芸術家偏愛ぶりが私の趣味ともシンクロしてとてもシンパシーを感じる作品でした。振り返り
2011年に発売された訳ではないけれども、たまたま私が読んだ作品で印象に残ったのは、トーマス・ベルンハルトの「消去」(ブログはこちら)。その心地悪くなるほどの憎悪の独白は、しかし、孤独な内面に響く作品でした。語り物
エッセイ的な作品の中で印象的だったのは、「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」(ブログはこちら)。愛書家二人の対談のような内容だけれども、こちらも、文学というか書籍に対する偏愛ぶりがもろに話題にされていて、やはり、変態的な読書好きってのは重要な存在だと再認識した次第であり、こういった偏愛を軸にすれば、電子書籍化などのメディアの変化なんて小さな問題に思えてくる。当たり年
というところで、印象に残った代表的なもののみを上げてみたのですが、他にも、莫言の新作「蛙鳴」(ブログはこちら)も面白い作品だった。それから、レーモン・クノーコレクションも刊行が開始(ブログはこちら)もしたなど、結構読みたくなる作品が多くて、読書時間作りが大変といううれしい一年でした。状況
メインストリームの書籍界の状況の悲惨さはもう、別にあれこれいうべきものでもないのでおいておいて、上記のような、渋い文学作品が、しかし、それでもちゃんと出版されているという事実はとても喜ばしいことでした。すでに出版されていて、興味深くて買ったのにまだ読めていない「メルラーナ街の混沌たる殺人事件」という作品もあったり、レーモン・クノーコレクションやトマス・ピンチョン全小説が続々2012年も刊行されていく状況など、2012年も読むべき本が尽きない一年になりそうで喜ばしい限りです。