じっくりと体内に何かが残る映画「エッセンシャル・キリング」



イエジー・スコリモフスキ監督

イエジー・スコリモフスキ監督による映画、話題の映画「エッセンシャル・キリング」を見てきた、イメージフォーラムにて。ちなみに、この映画の主役は、ヴィンセント・ギャロ





逃亡

荒涼とした大地にて逃げる主人公。追っ手の米軍を倒して、さらに逃亡しようとするが、しかし、捕まり囚人となる。尋問を受けた後の移送中に事故にあったことで、脱出に成功するが、そこから再び深い雪の中を逃亡し続けることになる。


寡黙

ひたすら逃げ続けるその男を描く映画。舞台は、深い雪山。登場人物は少なく、そして、会話も少ない。独特なBGMと逃げる足音と息づかい。緊張感と悲壮感が漂う。一方で、新雪そのものの、そして、雪景色そのものの静謐さとそして、その雪山に住む人々の素朴さが、追いかけるものと追われるものとのコントラストを作る。


生きること

この男は逃げ続け、そして、生きようとする。しかし、逃げようとするほどに、そして生きようとするほどに、この男は罪深くなっていく。そもそも、何故、彼は。
テロリストとしてアフガンで捕まったのであろうこの男。元を正せば、彼は在任なのだろうか。雪山でもうろうとする中でこの男が思い出すイスラム教の教えや暮らし。そもそも、この男の生きることとというのは何だったのだろうか、捕虜となる前から。そして、捕虜となり、拷問を受ける。何故、彼は逃亡したのか、捕虜だからか、それとも。


やはり寡黙に

しかし、やはり寡黙である。彼は、何も語らない。そして、最後にたどり着いた家の女に保護を受ける、言葉を語ることの出来ない女に。そして、彼はまた逃亡の道へと旅立つ。そして、言葉が完全になくなり、終わりを迎える。


語らず

そう、この映画は、全く語らない映画。そして、現実的な背景を持たせながらも、その特定の誰かを批判するわけでもない。ただ、寡黙に逃げ続けるこの男を描く。そして、この男を包み込む自然を。


じっくりと

ということで、じっくりと味わえる映画です。強烈な印象を残すと言うよりは、じっくりと何かが体内に残るとそんな映画です。


関連リンク:
映画『エッセンシャル・キリング』公式サイト
イメージフォーラム・ダゲレオ出版/シアター・イメージフォーラム
関連サーチ:
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エッセンシャル・キリング(flickr)
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