謎のアーティスト Banksy による映画、Exit Through the Gift Shop

Banksy

今回紹介するのは、アーティスト Banksy により制作された映画、Exit Through the Gift Shop。
この Banksy という人物は、かなり謎に包まれていて、だけれども、ストリートアーティストとしては、知られた存在。だけれども、素性は不明という人物。グラフィティというかつまりは壁への落書きなどの活動をするアーティストだが、それにとどまらず、有名美術館に、勝手に自分の作品を展示して、しばらくばれなかっただとか、イスラエルの国境壁に落書きをしたりだとか、社会的に影響を与えるような風刺的な活動も行っている。
かなりセンスフルな落書きで、Banksy のこちらのサイトでは、そのいくつかを見ることができるので、ご参考に。

ドキュメンタリー映画

さて、映画のほうです。この映画、Banksy 自身が、覆面の状態で、声もいじった状態で少しだけ参加して、どのような趣旨の映画なのかを説明します。それによると、あるフランス人のカメラマニアに関するドキュメンタリーであるとのこと。

http://www.youtube.com/watch?v=a0b90YppquE

ストリートアート

このフランス人カメラマニアがとった映像ということで、幾人かのストリートアーティストが登場する。そして、この男が、そういったストリートアーティストと活動しているうちにやがて、Banksy とで会うことになり、そして、最終的には、この男が Mr. Braiwash と名乗って、大きなアートイベントを開催し、大喝采をあびてしまうというそんな展開になる。

掟破り

さて、この男 Mr.Brainwash が開催して、成功したアートイベントのところだけを見ると、この男、かなりいけていないやつというのか掟破り。裏幕からすると、こんなことで成功していいのかと思わせるが、それでも、成功してしまったから、これで、この男の勝ちであるとそういうことなのか。その成功に対して、かつて彼がカメラにとったストリートアーティストは、Banksy をはじめとして、あきれかえる。

しかし

そして、思わず、そのがらくたのような作品が、本当にアートなのか？アートとはなんなのだろうかと、よくある疑問にぶち当たるわけで、そして、認められれば、それでいいのかと。さらに言えば、ストリートアートはある種の掟破りだったのだけれども、そんな人物たちが、彼はアートに対する姿勢がおかしいと異議を唱えるところが、むしろ掟破り側であった人物が掟破りを責めるという相矛盾した状態にまでも陥る。つまり、両面から、アートとは一体何かという疑問が噴出する結末となるわけだ。

それだけか？

しかし、そんな風に、まともにこの作品を捉えていいのだろうかと、そんな疑問がふつふつとわき上がってくる。いくら何でも、ド素人がそんな大きなアートイベントを成功させることは不可能だろうと。Mr.Brainwash は天才ということなのか？

いやいや

きっと、そうではないのだろう。これも含めて、Banksy による強烈な風刺なのではないのだろうか。この Mr.Brainwash そのものが、Banksy が作り上げた虚像なのではないのだろうかと。
つまり、そういうことなのだろう。数々の鋭い風刺を続ける Banksy ならやりかねない。いや、実際は、どうなのかよくわからないんだけれども。

面白い

そんないろいろな仕掛けについて考えるのも面白いんだけど、単純にストリートアート映画としても面白い。彼らが、壁にアートを作り上げていく様子を見ることが出来たりもするので。
なので、ある程度アートに興味がある人は、結構楽しめると思います。いわゆる映画的ではない作りなんだけれども、しかし、十分に楽しむことが出来ます。