Blackfield の新作は、憂いある美しき儚さ



Blackfield

Blackfield は、Porcupine Tree の Steven Wilson と、イスラエルでは結構メジャーなミュージシャン Aviv Geffen によるデュオ。Aviv Geffen がメインのソングライターというイメージで、この二人に、あとバンドメンバーが加わる構成。そんな Blackfield の三枚目のアルバム、Welcome to My DNA がリリースされたので、早速聴いてみた。


美しき

まずは、その深みを感じさせる空と雲を窓越しに眺める一人の男の後ろ姿というジャケットが、これが、また意味深長な美しさを持つすばらしいジャケット。これだけでも、期待が高まってくる。
そして、曲が始まる。サウンド傾向としては、ポスト・プログレッシブなイメージなのだけれども、変化球や凝ったサウンドというよりも、シンプルなポップロックに近いサウンド印象。だけれども、そこに少しひねりを効かせて独特な味わいを持つサウンドとなっている。ギターやピアノの少ない音数をうまく生かしつつバンドサウンドオーケストレーションで盛り上げるという感じ。


憂いと

全体的には、どこかに陰を感じさせるようなそんな要素が強い。アップテンポなサウンドも混じり合うのだけれども、歌詞も含めて何かの影が差す。そして、その影の感覚が何とも言えない美しい憂いを感じさせるそれで、胸のあたりにぐっと入り込んでくるような感覚を起こさせるそんなサウンド
なので、その憂いあるサウンドに思わず涙ぐんでしまいそうなほど。そのはかない美しさを持つサウンドが、しかし、我々の中にある弱さに見事に触る。これが、時にシンプルなサウンドに加えて、うまく歌うわけではなくて、味わいを持って歌う二人の歌唱によって、非常に美しく味わい深く響いてくる。


Far Away

特に、5曲目の Far Away なんてのは、もう、これは涙ぐまずにはいられない。とてもシンプルなサウンドなのだけれども、ぐっとくる。早くも今年のベストサウンド候補の登場と言っていい。
この曲の中盤では、オーケストレーションなども交えてきて、しかし、そのオーケストレーションも決して過剰には使わないので、じっくりと入り込んでくる。この曲以外でも、巧みにオーケストレーションやストリングスを入れてきていて、シンプルなバンドサウンドにうまく味付けが加わる。


メリハリ

アルバムとして言うなれば、そのメリハリもまたいいところ。散々憂いあるサウンドとばかり書いてきたけれども、やはり、それだけではなくて、ちょっと中東の味わいを感じさせる Blood なんかは、力強いサウンドの一方で押し寄せる反復コーラスワークを押してくる面白いサウンドだし、エレクトロポップ感のある oxygen は Trevor Horn プロデュースな味わいが出たサウンドだったりして、ただ暗いアルバムというわけではないところがまたこのアルバムの高い完成度を感じさせる。


絶賛

ということで、つまりは、絶賛です、この Blackfield の Welcome to My DNA。ジャンル的にはなんと言えばいいかよくわからなくて、こてこてプログレでもないし、ポストロックという感じでもないし、ポップロックな味わいは強いのだけれども、一筋縄でいくような単純なモノでもなく。
ただ、Porcupine Tree のファンのみならず、Sigur Ros などのポストロックが好きなファンにも訴えるようなアルバムだと思う。


関連リンク:
Welcome to Blackfield's official website
Blackfield | ミュージック
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Welcome to My DNA
発売元 : Kscope
発売日 : 2011-03-28 (1CD)
売上ランク : 18332 位 (AMAZON.co.jp)
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