ビルマの圧政の現実 ”ビルマVJ 消された革命”



ビルマ

現在、渋谷のシアター・イメージフォーラムで上映されているドキュメンタリー映画、”ビルマVJ 消された革命”を見てきた。
この映画、そのタイトルに含めれているVJとは、Video journalism の略。ビルマの現状をハンディカメラで秘密裏に撮影して、その現実を海外に伝えるということを行っている”ビルマ民主の声”の活動と、それが伝えるビルマの現実をドキュメンタリーとしてまとめた映画作品。
(なお、以下に張っている Youtube のリンクをたどっていくと、この映画の全ての映像を見ることができるような気がする。)





軍事政権

ビルマは、現在も軍事政権が権力を掌握している国であり、現在でもなお非民主的な独裁政権が統治している。なお、反体制のリーダーであり、象徴的な存在でもあるアウン・サン・スー・チー氏は今も軟禁状態にある。


デモと弾圧

このドキュメンタリー映画では、2007年9月ごろから発生した、僧侶を中心としたデモの様子を撮影した映像を中心として構成されている。また、これに先立つ1998年のデモにも言及しており、このときのデモでは、鎮圧部隊の発砲により3000人以上が殺害されたといわれている。


僧侶

ビルマは仏教国であることもあり、僧侶が政権とは別の一つの大きな組織団体である。そして、この2007年のデモは、僧侶を中心として行われた。僧侶の行動に触発されて、かつてのデモ隊に対する発砲によって、声を出すことに困難を覚えていた国民も立ち上がり、デモ隊に参加し始める。デモは、その規模を増し、そして、治安部隊との緊張度もましていく。


ジャーナリスト

その様子を、ビデオカメラで撮影して、そして、衛星でノルウェーオスロへと送付する団体が、”ビルマ民主の声”。当然、秘密警察からはマークされる存在であって、そのリーダーは、このデモの時は危険を避けるために国外にいた。そこから、メンバーと連絡を取り合う。その課程で、デモの拡大に対して、今度こそ革命を起こすことができると高揚するジャーナリストの姿はとても印象的。


発砲

しかし、その夢は絶たれる。増加していった緊張感は、そして、鎮圧という形で破壊される。僧侶は大量に逮捕されて、そして、どうなったのかは不明だという。当然のようにデモ隊への発砲が行われて、そして、そう、このときに日本人ジャーナリストも殺害された。思えば、このとき確かに日本でも少し話題になったが、その話題のレベルはあまりにも小さかったようにも感じられる。そして、海外メディアがこの”ビルマ民主の声”の映像を流し始めると、このことに危機感を覚えた政府は、この”ビルマ民主の声”への取り締まりを厳しくし、やがて、その拠点を発見し、そして、押収と逮捕を実行する。
それでも、なお、この”ビルマ民主の声”は再び、組織を再構築し、民主化の実現のために、今も活動している。


圧政

この国で、実際何が起こっているのか、私自身も知識が足らずに十分には理解していない。例えば、この映画で扱われている時期以降どのようになったのだろうか?近頃も総選挙のニュースが流れたように思うが、しかし、それは民主的とはほど遠いそれであって、スーチー氏は参加せず、党を解体したのではなかったろうか。


悲劇と勇気

この時代になっても、そして、この間近のアジアにおいても、依然としてこういった非民主的国家があるということが信じがたくもあるのだけれども、しかし、これが現実でもある。なんという悲劇だろうか。そして、その様子を必死に伝えようとする、このジャーナリストや、声を上げる僧侶たちの勇気には、恐れ入るしかない。


20世紀、21世紀

20世紀の帝国主義の夢の崩壊の後に起きた近代国家の建設という流れ。しかし、帝国主義の爪痕から癒えぬまま、近代国家という望んだわけではない新時代の到来に対して、その流れに乗っていくことのできなかった国々が、依然として、この地球上に存在している。それは、先進国という国々の我勝手な行動の犠牲者でもあるのだろう。そして、そこは多くの場合、光の当たらない場所でもある。我々は何ができるのだろうかと。例えば、この国に対して、日本政府はどういった態度で挑んでいるのだろうかと、そんなことに対する知識すらも、私自身は持ち合わせていない。ただ、思うのは、日本人ジャーナリストが殺害されたという事実に対して、声を上げることのできたはずの日本は、しかし、何をしたのだろうかと、私自身も含めて。勿論、外交には複雑な力学が働くのではあろうけれども。この21世紀に、我々は一体なにを成し遂げなければならないのだろうか。


世界

世界が金融資本主義に混乱している一方で、別の次元で悶絶している人々がいる世界。世界は、もっと変わっていくのだろうし、また、世界は、もっと変わらなければならないのだと思う。そして、当然私自身も変わっていかなければならない。そして、私自身で思っているのは、それは、確かに混乱の要因伴っているのだけれども、やはり、経済という仕組みだと思う。その諸刃の剣をこの21世紀に我々が使いこなせるようになるのか否か。


考えよう

この映画を見ることで、少し、普段とは違う世界の見方ができるのではないかと思います。是非とも、見てください。なお、ビルマ関連のいくつかの活動を以下にリンクしました。
また、このエントリーでは、映画のタイトルにあわせて、ビルマという名前を使いましたが、現在はミャンマーという呼称が正式なようです。




ShareStaLINKとは?



関連リンク:
ビルマVJ 消された革命
イメージフォーラム・ダゲレオ出版/シアター・イメージフォーラム
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.アウンサンスーチー
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.ミャンマー
Democratic Voice of Burma
YOUTUBE Democratic Voice of Burma Television
National Coalition Government of the Union of Burma - NCGUB
ビルマ軍事政権に抗議するTシャツ
SCDB【ビルマ民主化支援会】
関連サーチ:
ビルマVJ 消された革命(AMAZON.co.jp)
ビルマVJ 消された革命(Google)
ビルマVJ 消された革命(Technorati.jp)
ビルマVJ 消された革命(flickr)
Powered BY AmazoRogi