Dream Theater の新作は、聴きやすい展開に

プログレ・メタル

プログレ・メタルの代表的なバンド、Dream Theater の2009年新作、Black Clouds & Silver Linings を聴いてみた。
ちなみに、これ、いくつかバリエーションがあって、恐ろしいほどの限定ボックス仕様があったり、それから通常版と、本編に加えて、カバー曲集と本編のインスト版のついた3枚組などなどが存在する。私が入手したのは、その3枚組。

分かり易さ

最初に一通り聴いて感じるのは、アルバム全体を通して非常に分かりやすい曲調のものが多いと言うこと。先日の Mars Volta の新作も同様に分かり易さのほうへと振れていたのだけれども、これ、テクニカル系ひねくれ系サウンドが行き着くところまで行き着いてという展開なのだろうか。

メロディー

Dream Theater のアルバムって、1曲ポップな口ずさめそうな曲が入っていて、あとはテクニカル中心の曲で構成されているという場合が多かった気がするのだけれども、このアルバムは、そのポップなタイプの楽曲が複数含まれているというか、テクニカルな展開の曲であっても、さびの部分にはポップなメロディーが挟まれているというかで、これが、全体をとてもすっきりとした印象へと持って行っている。

歌物

ということは、全体的に歌物要素も増えてくるって事で、ないがしろに去れがちな　James Labrie の活躍の場も増えているという感じもする。とくに、Labrie の得意な愁いのあるバラッドサウンドである 3曲目の Wither などはまさに、Labrie ワールドの佳曲。

シリーズ物

Six Degrees Of Inner Turbulenc から延々と続いていたシリーズ物楽曲も今作でも取り上げられていて、最終話 The Shattered Fortress。聴きなじみのあるサウンドが挟み込まれながら展開されていく。

全体

で、結果的に全体的な印象はというと、とても暖かみのある作品というか、寄り添ってくるような作品という印象。今までにあった、どこか一般人とは次元の違う世界で常に異質で革新的な何かを求めようとする様子ではなくて、むしろ分かり易さ、なじみやすさの中にテクニカルな部分を丸め込んでいるというのか、スゴイ！と叫びたくなるというよりは、これはスキだ！と叫びたくなるようなそんな作品。

カバー集

で、ボーナスディスクの方ですが、まずは、カバー集。これ、まぁ、取り上げている作品が、なんというのか、これでもかという感じ。King Crimson のLarks Tongues In Aspic Part2 までカバーしているのだから。しかし、なんだか、最近本家の物ではないこの曲を聴く機会が多い。
まぁ、これ、結構面白い出来にはなっています。必聴かどうかは微妙ですが、損はないというところか。

インストゥルメンタル

で、もう一つがインスト作品。先述のように、本編では James Labrie が活躍しているのですが、それだけで終わらせたくなかったのか、それとも、アルバム本編がやはりちょっとメロディックよりなことがどこか納得していないからなのかという邪推をしたくなるのが、このインスト作品。
これも、まぁ、これはこれで面白いというところで、必聴かどうかは微妙だけれども、損はないというところ。