遠い場所として、津田直「SMOKE LINE―風の河を辿って」



資生堂ギャラリー

銀座は資生堂ギャラリーにて、12月21日まで開催されている展示、「SMOKE LINE―風の河を辿って」は津田直氏の写真。


遠い場所

現代の文化とはかけ離れた自然の中にある場所や暮らしを捉える写真家。ここで、展示されているのは、そんな山奥や平原などなどを3/4ほどを空という構成で切り取られたいずれも二枚で一組の風景写真とそういった場所に暮らす人々の生活に近い視点で捉えられた写真。この二種類の写真が展示されている。


時間

風景を捉えた写真は、この展示のタイトルとして掲げられているように、風景は曇っている。そして、その曇りがちの風景は、むしろそこにある空間の広がりや時間の広がりを象徴しているようにも思えるのは、思い込みすぎだろうか。たとえば、その曇り空には、ちょっと見るだけではわからない微妙な色合いの差異が、時間をかけてじっくりと見ていると目が捉えることが、いやもう少し正確に言うと、脳が認識することが出来てくる。そして、その曇りは、霞であって、かすむほどの距離、もしくは、高度を示しているようでもある。


近さ

一方人々に比較的近い場所を捉えた写真は、少し不思議な印象を残す。例えば、そこに強く生活の臭いをしみ出させるような写真として表現されている分けでもないし、その文化が強調されているわけでもない。そこにも、また曇りがちななにかが見えると言えばそうである。そこまで近寄りながらも、依然としてベールの向こうにあるそれらとでも言うべきなのだろうか。それとも、写真家が故意にベールをかけたそれなのだろうか。
この不思議さが、しかし、むしろ面白い。異文化をさも象徴的に切り取ることだけが表現ではないように思う、確かに。


銀座

この資生堂ギャラリー以外にも、銀座には、企業系のアートスペースをはじめとしてただで楽しめるギャラリーが多いので、この不況の折に、節約しながら精神的には充実するってところで、資生堂ギャラリーを手始めにいろいろとちょっと訪れてみてはいかがでしょうか。


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