4分間のピアニスト



ドイツ映画

天才ピアニスト二人、それぞれの背景にある事情。そんな二人の女性のピアノを通した対話。
一人は、老婆でピアノの講師、もう一人は殺人犯としての囚人。その囚人女性の才能に惚れ込んだ老婆が、コンテストを目指すという展開。


ストーリー展開は・・・

正直言って、ストーリーのもっていき方であったり、登場人物の境遇の作り方であったりが、ちょっと荒い。また、恣意的に作り込まれすぎた悲劇性のように感じる場面もあったりするので、映画の作りとしては、それほど良くないと思う。過去の振り返りの場面も、全体のストーリーのつながりに対して、ちょっとうまくいっていないというか、とってつけた感が残る。少し、悲劇性を盛り込みすぎている。


音楽と感情

とはいうものの、それでもなお、この映画はなかなか面白かった。というのも、やはり音楽と感情の関連性の描き方にはぶれがなくて、しかも感情的にも理解できるレベルで説得力のある描き方であると感じたから。
何が?かというと、音楽をはじめとして、ある種の表現は、常に間接表現であるというか、論理を構築する表現ではない。本来ならば、そういった間接表現というのは、必要ない物であるかもしれない物ともいえる、少なくとも直接的に生活を改善する物にはならない。だけれども、それらが存在するという事は。それは、そういった間接表現に寄ってしか表現する事の出来ない事があまりにも多くあるからに他ならない。例えば、この二人の場合、美しい音楽を好む老婆、美しい音楽を表現する能力を持つけれども、それを破壊したところに美を感じる囚人女性。
それぞれが、それぞれを好む理由は、それは、そういった表現によって、感情が表現できるからだと思う。そして、そういった表現でしか表現できない感情を背負っているからということで、これは映画の中で描写されていた背景とうまく繋がっている。そう、感情の面ではすばらしく表現が一貫していてすばらしいと思う。


どうにもならない物

そして、囚人女性の最後の演奏。どうにもならない感情だけが彼女の中にはあって。若いながらも、全ての物事が悪い方向にしか進まないようになってしまった人生。憎しみだけが溜まる。許す事の出来ない過去を引きずって、だけれども、行き場はなく、そして、ただ才能だけがあるとなると。
そして、演奏が始まる。


それしか

そこには、表現しか残らないのかもしれない。感情が崩壊する運命を生きる事になってしまった人間にしかわからないかもしれないけれど。
つきまとう影から逃亡しようとしても、常に幻影としてあって。
そして、それでも、何処にもたどり着けないかもしれない。


関連リンク:
映画『4分間のピアニスト』トップ
シネスイッチ銀座
||||シネマGAGA! 渋谷||||
関連サーチ:
4分間のピアニスト(AMAZON.co.jp)
4分間のピアニスト(Google)
4分間のピアニスト(Technorati.jp)
Powered BY AmazoRogi

映画「4分間のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック
発売日 : 2007-10-31 (1CD)
売上ランク : 593 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 2,500 通常24時間以内に発送
Powered BY AmazoRogi Data as of 2007-11-23
See detail & latest visit AMAZON.co.jp