ヘンリー・ダーガーの非現実の王国



ヘンリー・ダーガー

日本でも、ワタリウム美術館原美術館での展示などを通して、非常に人気の高い画家ヘンリー・ダーガードキュメンタリー映画が現在上映中なので、見に行ってみた。ちなみに、もともとは、2004年に作成された映画。


アウトサイダーアート

ヘンリー・ダーガーは、ほぼ孤独で引きこもり気味な人生を送りながら、一方で自室で、大量の物語とそれに沿った絵画作品を残した事で知られており、自室の管理人によってその作品が発掘されて以降その作品の驚くべき出来に、世界中で知られる存在になった人。少し前に、ニキフォルについても映画があったが、アウトサイダーアートという観点では類似した存在でもある。


映画

その映画なのだけれども、ヘンリー・ダーガーの人生とその作品を対比させながら、ヘンリー・ダーガーが作品に込めたのではないかと思われる感情の背景を探るという感じの作品。元々は静止画の彼の作品をアニメーションにして、物語を語るのに利用しているところは、賛否両論かもしれない。


感情

映画館自体もそこそこの入りなので、やっぱり、ヘンリー・ダーガーの日本での人気がうかがい知れる。で、その人気の根源って何だろうかと、作品を見ながら感じたこと。やはり、どこかこのヘンリー・ダーガーの孤独な人生に対する、感情移入というか、シンパシーというか、自己投影というか、そういったものを鑑賞者側に引き起こさせるところにあるのではと思う。人間の感情の中には、人によって割合は違うだろうけれども、孤独感という要素は確実にあって、その孤独感が、彼の作品には如実に表現されているという気がしてならなくて、その孤独感が鑑賞者の心を打つという気がする(一般的な言い方をしてみたけれども、私のみの思いに過ぎないかもしれないけれど)。
特に、ヘンリー・ダーガーの描いた世界が、理想郷のようでいて、だけれども、現実よりも残酷な世界も時に描き出されているところが、孤独の中で理想を求めながらも、現実の中で感じ取った様々な感情が、理想が理想に過ぎないという事を発露してしまうと、そんな印象がする。だけれども、その理想郷の破綻こそが、鑑賞者側の感情と見事にシンクロしているように思う。そこが、とても直球というのだろうか、自然に表現されていて、結果として、他の芸術作品では感じ取ることの出来ない何かが、感じられるのではないだろうか。


いずれにせよ

特に、劇的に描いた映画でもないし、膨大な作品の部分を取り上げて、彼の人生とシンクロさせているので、これによってヘンリー・ダーガーの多くを理解できるとは思わないのだけれども、ある観点で捉えた作品としては、とても楽しく鑑賞することの出来る作品です。


関連リンク:
dLINKbRING.Labo.dicmulsearch.ヘンリー・ダーガー
映画『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』公式サイト
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ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で
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