芸術と脳科学の対話―バルテュスとゼキによる本質的なものの探求



1.ゼキ
セミール・ゼキ氏は、依然出版された、"脳は美をいかに感じるか"という作品で、私自身は初めて知って、この書籍の内容の面白さ、美術的な物事の捉え方を脳科学的に分析するという、一見異文化に見える物を共通の次元で語る手法が非常に興味深かったため、私にとってはとても印象に残る人物であった。


2.バルテュス
バルテュスは、最後の巨匠とも呼ばれるような前衛手法ではなく、伝統技法にのっとった正統派な油絵画家として知られる人物。


3.科学者と芸術家
そんな、科学者と芸術家が行った6回にわたる対談の様子を納めたのが、この書物、”芸術と脳科学の対話”。
芸術家と脳科学者がそのように意見交換するのかというところは確かに興味深いところだったので、かなりの期待を持って読み始めてみた。


4.しかし
ところが、正直言うと、今ひとつ切れがない内容という印象。そもそも、この対談という形式がやはり、もう一つというか、多くを求めてはだめなのだという印象が強く残った。近頃、新書関連でもインタビュー形式や対談形式の書物が多くて、確かに、ある種のダイナミズムは形成されているかもしれないけれど、やはり、いずれにしても深さに欠ける内容になっていて、この本もその例外ではないという気がする。何がかというと、結局それぞれの主観があまりも入り込んでいすぎるというところ、それから、それぞれが十分な熟考のないままに、だけれども、どこか、かみ合わない状態で進むので、どうも今ひとつ。正直言って、雑談に毛が生えたというレベルという印象。


5.客観性
完全な客観性などはあり得ないのだけれども、やはり、ここまで主観が入ると興ざめするし、どうしても、自分自身の主観との比較という読み方になってしまう。"脳は美をいかに感じるか"では、十分な客観性があって、適度な距離感が内容の面白さを形成していただけに、この作品は少し企画倒れな気がする、個人的な意見ではありますが。
いくつか、それでも、意義深そうなフレーズは確かにあったのですが、全体的にいまいちなので、内容を細かく議論はしないでおきます。


関連リンク:
dLINKbRING.Literature.セミール・ザキ.脳は美をいかに感じるか
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芸術と脳科学の対話―バルテュスとゼキによる本質的なものの探求
発売元 : 青土社
発売日 : 2007-05 (単行本)
売上ランク : 61100 位 (AMAZON.co.jp)
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