藤森建築と路上観察:東京オペラシティアートギャラリー

1.第10回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展
第10回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展にも出展していた建築家、藤森照信氏の作品展示。

2.かなり別の視点
最近の建築というとガラス張りだとか非対称幾何学とか曲面とかが多用されたサイバーなというか近未来な感覚を主張するものが多いけれど、藤森建築は、それとは全く対極にあるという感じ。伝統技法も用いながら自然物の素材の面白さを追求した作品で、低層な民家的建築が多いようだ。この感覚は、私自身としてもかなり意外な視点というか、自分なら絶対に思いつかない発想だと感じた。
屋根の上に芝が生えていたり、焼いた杉を外装に使ったり、銅板をあえて手曲げするだとか。木の上の家だとか。伝統的技法とも相まって、自然との一体感を感じさせるようなものでありながら、少し自然そのものではなくて、自然に対しても違和感のある形態であるというのも面白いところ。

3.路上観察
建築とは別に、路上観察学会なるもののメンバーでもあるらしく、この会の活動が面白い。街角にある様々な面白い形状を写真に納めて、そのおもしろみを語り合うというもの。たしか、20年ほど前のNHKの朝の番組でもこのような路上観察の番組があったように思うのだけれども、ひょっとしたら路上観察学会のメンバーが関係していたのかもしれない。
この写真は、展示室内に作られた縄でできた小屋の中でビデオ上映という形式で鑑賞できる。あえて作られた小空間の中でみるというのもまた面白い趣向。ずっと居座ってしまいたくなる。