エンリーケ ビラ=マタス パリに終わりはこない
エンリーケ ビラ=マタス
散文的な語り口調で、様々なコアな文学者、文学作品に言及しながら、物語を紡いでいくことの多い作家、エンリーケ ビラ=マタス。今回紹介する作品「パリに終わりは来ない」は、自信の伝記的ともいえる内容をベースに、ヘミングウェイを中心に様々な作家に言及しながら進む、パリの生活が描かれた作品。
さらに軽いタッチ
基本的には、軽いタッチの文体で描く作風だけれども、この作品は、さらにタッチの軽さを感じる。以前翻訳で出ていた、「バートルビーと仲間たち」あたりに比べると、格段に読みやすい作品だと思う。また、いつも通り、多数の作家が言及されるのだけれども、言及される作家も比較的よく知られた作家が多いようにも感じる。そんなあたりも含め、読みやすいかるい作品というのが全体の印象。
書くと言うこと
ただ、本書でも彼の一貫した視点として見えるのは、書くと言うこと。書けなくなると言うことから、書くと言うことに言及したのが、「バートルビ-と仲間たち」であり、本書は、とにかく書きたいという想いと、そして、それがオリジナルでありたいという想い、そちら側の意識を強く描いた作品である。つまり
書くと言うことを、そのまま、書くと言うことと捉えてしまうと、書かない人にとってはどうでもいい作品ということか、というと、そういうことでもない。「書く」ということに象徴される自意識であったり自己の存在理由であったり、ということがそこには描かれていると、理解すべきではないかと思う。
いわば、青年期の悩みがこの作品であり、壮年期の悩みが、「バートルビ-」なんだろう。
その意味では
その意味では、この作品の文体の軽さって言うのは、むしろ意図したものであるとも取れる。青年期の深くでも、意外と浅はかな苦悩。これが見事に描き出された作品と言えるのでは無かろうか。関連サーチ:
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