MOTアニュアル フラグメントを見てきた



MOTアニュアル

毎年この時期に開催される東京都現代美術館の年次展示、MOTアニュアル。毎年特徴的なテーマのもとに複数のアーティストの作品を集めて行う展示で、今年のテーマは、フラグメント。


言い得て妙

フラグメントというのは言い得て妙なタイトルだと思う。展示をとおして全体的に感じるのは、なるほどねっていう印象。嫌悪感を感じるのような毒はなくて、なんというのか、親近感がわくというのか、身近な人が作った作品というような感覚で、圧倒されるようなすごさも無い感じ。このへんが、正にフラグメントなんだろうというのか、各アーティストの行為そのものが、最早世界を語るようなことはなくて、もう一つの別の部屋というような、少しだけ日常とは異なる側面を提示するような感覚になってきているということにもとれる。


SNS

その意味では、SNSYouTubeなどで話題になるというような感覚に近いものがあると行ってもいいような気がする。それを敢えて美術館という兵空間に展開することの意味とは何か?というところが気になってくるけれども、それは、むしろハプニングの必然性というところかもしれない。
ネットという多様な海でどのネタにどの良うにハプニングとして出会うかわからない状況に対して、美術館という場においてある種のフィルターがかかった状態で、そこでハプニング的に出会うという意義。


その意義が

となると、つまりこうして、限定的なハプニングとして出会った作品群がどのような意義として鑑賞者に訴えるのかということ。
それはどちらかという仲間意識に近いものがあるような気もする。限定的に共有されたネタは、もはや批評対象ではなくて、共有対象でしかない。そして、そこには共有するだけの面白さがあるかどうかが重要な要素になってくるのだろう。


親近感

つまり、その意味では、冒頭に述べた圧倒されることもなければ、拒否反応を示す印象でもなく、ただ親近感のようなものを感じさせてくれたこの展示というのは、この時代を見事に表現している展示と言えるのだろう。


バートルビ-

ちなみに、福田尚代さんの展示で、バートルビ-という言葉への言及があったが、その展示の本は、エンリーケ・ビラ=マタスバートルビーと仲間たちそのものであってこの本は結構面白いので、私はお勧めの文学です(こちら参照)。


空気感

ということで、現代美術というと一昔前は、意味がわからない上に哲学的な意味が説明として提示されたりしていて、わかる人にはわかるけどわからない人にはなんだかなーな印象だったと思うけれども、そういった深みとは決別した、身近な感じの美術な空気感を気軽に共有するようなこの展示は、多くの人が楽しめるそれはないかと思います。


関連リンク:
展覧会|東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
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