難解小説「犬と狼のはざまで」を読んだ
サーシャ・ソコロフ
ロシアの作家サーシャ・ソコロフによる、「犬と狼のはざまで」を読んでみた。この作家の作品は、こちらでも紹介している「馬鹿たちの学校」も日本語訳が出ている。この「馬鹿たちの学校」もなかなかのなん読書であったが、この「犬と狼のはざまで」はさらなるなん読書。
新しい
この作品自体は、1980年に最初に出版されているということなので、比較的新しいと言えば新しい。例えば、ユリシーズなんかは1920年頃の出版だったりする。おおむね難解小説が世の中にしっかりと出版されていたという時代は、この19世紀後半から20世紀前半に掛けてくらいのみだったのかと思われるところもあって、その意味では、これほどの難解書がこれくらいの時代に出ていたというのはある意味驚き。しかし難解
しかし、この作品は、難解です。猟兵をめぐるある村での事件を扱っているという感じなのだろうけれども、はっきり言って、情景は全く浮かんでこないほどに、文章と言葉が自由にあふれ出している。解説を見て気づくところではあるのだけれども章構成そのものにも仕掛けがあるような作品。しかし、それをまた理解して、読み解くには、相当の注意深いそして集中力のある状態で読み続けないと難しい。
しかし、それを困難にさせるだけの、文章の難解さの壁がそこにあって、言語の圧倒的な壁面に困惑しないではいられない。
混沌
一体ここには、何が描かれているのか?そして、何を読み解けばいいのか。結局のところ、タイトルである「犬と狼のはざまで」というもののみが脳に残る。文中にも犬や狼にかかわる記述が出てくる。人間としての存在を犬と狼として、描いているのか。全て
そして、それを描く上で、その全ての状況を描き尽くそうとするということがなされているのだと思う。その意味で、ユリシーズなんかの書き方を言及したくなるところもある。すごい
しかし、凄い書物です。これを書いた人もすごいけど、これを出版した人も凄いし、これを和訳した人もすごい。よく世の中に出たと思う。とはいえ、最近本屋で海外文学コーナーにいくと、むしろこういった渋い作品が多くなってきているようにも感じる。文学を読む人が減っているのかもしれないが、そのおかげで、渋い書物が多くなってきているとも言えると思う。
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