スウェーデンのバンド Carptree の新作 Nymf が素敵な大仰さ



Carptree

今回紹介するバンド、Carptree はスウェーデンのバンドで。ボーカルの Niclas Flinck とキーボーディストの Carl Westholm の二人によるプロジェクトバンド。この二人自身は、昔からの知り合いらしいのだが、Carptree として活動し始めたのは1997年で、デビューアルバムが、2001年に出ているので、そこそこの歴史を持つバンド。今回紹介するのは、そんな彼らの2010年リリースの新作 Nymf で5枚目のアルバムになる。





バンド

このバンド、上記の二人の人物を中心として、さらに、演奏メンバーとして、No Future Orchestra が入っている。Orcehsta とついているけれども、いわゆるオーケストラでは全くなく、ドラマー、ギタリスト、ベーシスト、バックボーカリストで構成されるそれ。つまり、この No Future Orchestra を含んだ状態になるとちょうど一般的なロックバンドの形態になる。


サウンド

サウンドは、比較的古典的なタイプのシンフォニックロックバンド。ボーカルが、少し癖のあるタイプで初期 Marillion の Fish までは行かないけれども、傾向としてはそちら側の声質。それから、中心人物の一人がキーボーディストということもあり、キーボードサウンドが主体。壮大なオーケストレーションから、いかにもシンセといううにょうにょとした音使いから、リリカルなピアノまで。なので、キーボード好き向けかもしれない。とはいっても、ギターやリズム隊も決して目立たないわけではなく、バンドアンサンブルも楽しめる。


ダークさ

私自身は、彼らのサウンドを聴くのは、このアルバムが初めてなので、このアルバムの曲風が、前作に対して、どうなのかはよくわからない。
ジャケからして、ちょっとおとぎ話的な不気味さを感じさせるのだけれども、それに相応したサウンド。物語を語りあげるようなボーカルスタイルを、独特の重い雰囲気を持ったサウンドが包み込む。全体的にシアトリカルなサウンドで、基本的な色合いは、ダーク。だけれども、所々リリカルなピアノによる美しい瞬間が訪れる。また、重厚な教会的コーラスワークもあり。ちょっと Devil Doll な色合いも感じさせるけれども、そこまでアクは強くない。


大仰さ

つまり、なんというのか、全体的にいい意味で大仰。なので、激しいアンサンブルだとか、スピード感のあるサウンドではなくて、ゆったりとした雰囲気によってじっくりと迫ってくるという感じ。一言で言えば、ドラマチック。そして、その完成度が非常に高いのでその雰囲気にしっかりと浸ることができる。今までの過去のこのバンドのジャケットは何度か見たことがあるけれども、聴いたことが一度もなかったのだが、これは聴いておかなかったのが失敗だったと思わせるに十分なでき。


ラスト

そして、そんな独特な雰囲気でずっしりと構築しきった後に最後にやってくるバラッド "The Water" がこれがまたいい。The Enid のような雰囲気も感じるような美しいシンフォニックバラッド曲。


いいです

というところで、結構いいです。昨今のプログレメタルたとか、ポストロック系サウンドなどのモダンさとは全く違っていて、むしろ、古典的なプログレスタイルの中でも初期 Genesis 的スタイルをとっている。しかし、古くさい感じではなくて、現代を感じさせるサウンドで、結果として現時点ではほかに近しい音を出すバンドがあまり見当たらないサウンドになっている気がする。
ホント、すばらしいシアトリカルシンフォニックロックです。


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