ちょっと変わったポップなプログレ District 97 を聴いてみた



デビュー作

今回紹介するのは、アメリカの District 97 というバンドのデビューアルバムで、Hybrid Child という作品。
このバンドは、6人構成で、ボーカルが女性で、さらに、専属チェロ奏者がいて、こちらも女性、そのほか4人が男性という構成。で、少し逸話があって、このボーカルの女性は、アメリカのオーディション番組”American Idol”というののファイナリストとのこと。さらに、チェロ奏者は、シカゴ交響楽団のメンバーであるらしい。
で、さらに、ついでのことをいうと、そのほかの4人の男性メンバーはいずれもめがね男子であるがために、この4人の写真だけ見ると、なんか、コンピューター系ガジェットの競技会にでも出そうな印象のルックスで、ロックバンドっぽくない。





印象

それはさておき、作品です。これが、また、どうもなかなか表現の難しいバンドで、こういったタイプの音は今までほかのバンドでは聴いたことないという感じ。基本的には、ポップさを持ったプログレサウンドで、系統的には、初期の Spock's Beard や Flower Kings などの路線で、ポップなサウンドの中に、さりげなく複雑な拍子とアンサンブルを挟み込んでくるというタイプ。ただ、ポップなそのメロディーにモダンな味わいが加わっていて、このあたりがほかのバンドと一線を画すイメージの音になっている。その結果、大仰なというサウンドではなくて、なんか、整ったサウンドという感じ。なので、”アク”のようなところがないので、強烈な印象を残すようなサウンドではない。


チェロなど

先述の通りでメンバーにチェロ奏者がいて、このチェロがまた結構弾きまくっているのかなり印象に強く残る。また、曲によっては、ビンテージ感のあるキーボードサウンドも使ってくるので、このあたりの音はかなりおもしろい。
要素としては、既出のいろいろなプログレバンドの手法が取り入れられているのだけれども、最終的に出している音はというと、なかなか独自なものがある。


アルバム

そんな音によって構成されているこのデビューアルバムですが、アルバム全体としては、前半に4曲、5分から9分の作品が収められていて、それ以降が、Mindscan と題された27分に渡る10曲構成の組曲が入っている。
アルバム通しての音の印象は、先述のとおり。大きく印象の異なる曲を入れたりということもないのだけれども、しかし、一本調子になるということもなくなかなかの完成度。
特に、このバンドの中心人物と思われるドラマーがなかなかの実力の持ち主っぽくて、リズムがしっかり決まりながらも、所々に細かく拍子をずらしてくるので、このあたりの違和感がとてもいい。ほかのメンバーの演奏もよくて、馬鹿テクを強く印象づけられることはないけれども非常にバランスのとれたアンサンブルを聴かせてくれながら、一方で女性ボーカルによるボーカルパートは聴きなじみやすいメロディーで構成されている。


アートワーク

あと、これ、なかなかすばらしいのがアートワーク。新人バンドというと予算的に厳しいものがあって、アートワークが結構おろそかになりがちな気がするのだけれども、かなり気合いの入ったいいアートワーク。このバンドの気合いを感じます。


おすすめ

というところなので、結構おすすめのアルバムです。特に、ポップ系のプログレシンフォサウンドが好きなかたには大プッシュします。なによりも、こういったタイプの音は今までにありそうでなかった音なので、聴いてみる価値があるのではと思います。


ちなみに

ちなみにこの作品、かの Laser's Edge から出ているのですが、ほかのいろいろなショップでは、まだ発売予定としてしか扱われてないのですが、World Disque だけは、すでに売っていました。


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Hybrid Child
発売元 : Laser's Edge
発売日 : 2010-09-14 (1CD)
売上ランク : 52626 位 (AMAZON.co.jp)
¥ 1,450 近日発売 予約可
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